昨今、経済面や環境面などさまざまな理由で生理用品を手にすることが難しい「生理の貧困」が注目されている。大王製紙は、多様性のある社会でひとりひとりの生理に寄り添うプロジェクト「meet my elis」を2022年に始動。プロジェクトの一環として、さまざまな理由から生理用品の入手に困っている学生を対象に、生理用ナプキンを1年間無償で配布する「奨学ナプキン」を実施しており、2023年度は2,000名の学生への支援を行った。
今回、1年を通じて行ってきた「奨学ナプキン」の効果や生理に関する課題を明らかにし、今後より適切なサポートを行うことを目的に、「奨学ナプキン」や生理に関する最終アンケート調査を実施した。
奨学生を対象に、1年間の奨学生期間を終え、奨学ナプキンをまわりの人に勧めたいか尋ねたところ、98.1%と多くの方が「勧めたい」と回答。
生理用品を受け取るようになってからの生活の変化を聞くと、「ナプキンがなくなるかもという不安や焦りがなくなり、生理期間中も前向きになれた」「ナプキンを気軽に取り換えられるようになって衣類が汚れることが減った」「同じナプキンを長時間使い続けることがなくなり、かゆみが出たりかぶれることが減った」「金銭的に助かった」などのさまざまな前向きな声が寄せられた。
「奨学ナプキン」プロジェクト期間の1年間を経て、生理に関する社会の理解について変化の有無を尋ねたところ、「変化があったと感じる」もしくは「やや変化があったと感じる」が51.8%であった。
全体で見ると「どちらともいえない」との回答が32.1%と最多となっており、「無償のナプキン配布は増えたと感じるが、理解が深まっているとは言い難い」「生理についてのコンテンツは増えたが興味のない人まで情報が届いていない」などのコメントから、生理に関する社会の理解は“進みつつあるものの不十分だ”と考える人が多いことがうかがえる。
最後に、“生理について今後社会に変わってほしいこと”を尋ねたところ、「生理の症状には個人差があることを知ってほしい」「生理による体調不良は甘えだ、ズル休みだ、といった考えをやめてほしい」といった生理に対する理解を求める意見が多く見られた。中には「生理でもプールに入れという先生がいる」といった声もあり、学生だけでなく教員に対しても生理教育が必要な実態がうかがえる。
その他、「トイレットペーパーと同じように、どのトイレにもナプキンが置いてある社会になってほしい」「生理用品は生活必需品なので購入費用を軽減してほしい」「被災時にも十分な量を配布できるようになってほしい」といった社会保障を求める声も多く見られ、生理による金銭面の負担が大きく、社会によるサポートが不十分だと感じている人が多いことがわかった。
また、「生理休暇がもっと使いやすくなってほしい」「生理で休む場合には欠席日数にカウントしないで欲しい」といった生理での休みに関する要望も見られた。2023年12月には、文部科学省から、公立高校入試において生理による体調不良も追試験対象とするよう全国に通知されるなど、徐々に生理による休みが認められるようになってきたが、まだ不十分だと感じる人は多いようだ。
同社は、今回の調査結果を踏まえ、本プロジェクトが奨学生の生活に前向きな変化を与えていることが明らかになった一方、生理の有無を問わず社会が生理について理解し、助け合える環境を実現するには、今後とも継続的にアクションを起こし続ける必要があるとして、2024年度もプロジェクトを実施することを決定した。募集開始は4月9日から。募集要項などの詳細は、同日に特設サイトで発表する。