東京都教育庁は2月20日、不登校・ひきこもり対策を目的に、生成AIを活用した子供の悩みを早期発見・解決するモデル実証を開始した。都の「スタートアップによる事業提案制度」採択プロジェクトの一環で、ZIAIと連携。生成AIを用いた悩みチャット相談システムの導入・運用を東京都立桐ヶ丘高等学校にて実施する。実施期間は3月31日まで。
傾聴AIアルゴリズムを活用した「悩みチャット相談システム」を学校内生徒に開放する。悩みを吐露することによるストレス緩和に加え、必要があれば現場の教員やスクールカウンセラーに繋ぐことで課題を早期発見することを目的としている。加えて、それら悩みデータを学校にフィードバックすることで、さらに魅力的な学校づくりや学校全体のフォロー力向上を狙う。
実証校となる都立桐ヶ丘高校は、小・中学校時代に不登校経験を持つ生徒や長期欠席等が原因で高校を中途退学した者等を主に受け入れる総合学科・三部制(午前部・午後部・夜間部)の高校。都では多様なタイプの都立学校を開設しており、同校はその一つ「チャレンジスクール」の1校。
加速度的に変化する現代社会では、学校や地域、家庭において、様々に生きづらさや困難さを抱えた子供たちが多く存在しています(当然、多くの大人も感じている問題です。)。こうした子供たちに、官民が協力して先端技術を活用しながら、いつでも、どこでも、安心して相談できる環境を作っていくことはとても重要だと感じています。どんな背景があっても、どんな環境に生きていても、子供たちに寄り添い、大人になっても寄り添える環境、そういったいわゆる共生社会を実現させていくためにも、今回のモデル的な取組から、子供たちの生きづらさや困難さを少しでも解決できればと考えています。
これまで自治体の福祉相談窓口を生成AIによりDXする取り組みを通じて、月間数千名から寄せられるチャット相談に対応してきました。そこでわかったのは、約7割が中学生と高校生であり、彼らは誰にも話せない悩みを抱えているという事実でした。チャット相談により一時的なストレス緩和に役立てるだけでなく、現場の教員や養護教員、スクールカウンセラーとも連携しながら子どもの伴走支援まで実現する、さらに一歩先のモデル構築を実現することが本取り組みの目的です。東京都教育庁や桐ヶ丘高等学校の皆様にご協力いただきながら、全関係者にとって有益な仕組みの構築に向けてモデル実証を進めてまいります。