子供たちに面白い本に出会える機会を作り、本をもっと身近に感じてもらうため、NPO法人こどもの本総選挙事務局は、第4回「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」ベスト10結果発表会を2月10日に都内で開催した。全国の小学生が「今まで読んだ中で1番好きな本」を投票。2023年5月5日から9月8日の投票期間で総計14万4188票が集まり、ベスト10が決定した。
■こどもプレゼンターが著者らを表彰
「みんなの面白いが1番おもしろい!ともだち みんなでえらぶ最強の本 決定戦!」と題して実施。今回のベスト10結果発表会では、投票者の中から選ばれた「こどもプレゼンター」が賞状を授与すると同時に、その本を選んだ理由をコメント。また、アンバサダーを務めたお笑い芸人の又吉直樹氏も出演し、作者とのスペシャルサイン会も行われた。
<アンバサダー 又吉直樹氏コメント>
こどもプレゼンターから直接、本の感想を聞くことができたのも楽しかったです。わからないことを楽しむというのは子供の方が上手なのかもしれません。毎回、入賞する本がある中、3位の『大ピンチずかん』は初めてベスト10入りとなりましたが、絶妙なピンチが書かれていたのがおもしろかったです。今回、いろんな感覚を刺激してくれる本が揃いました。子供たちは投票を通じて、本と向き合ったことが貴重な体験になったと思います。
<結果発表>
【1位】『りんごかもしれない』
ヨシタケシンスケ/著
2013年 ブロンズ新社
【2位】『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』
今泉忠明/監修
下間文恵、徳永明子、かわむらふゆみ/絵
2016年 高橋書店
【3位】『大ピンチずかん』
鈴木のりたけ/作
2022年 小学館
【4位】『あるかしら書店』
ヨシタケシンスケ/著
2017年 ポプラ社
【5位】『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』
廣嶋玲子/作
jyajya/絵
2013年 偕成社
【6位】『パンどろぼう』
柴田ケイコ/作
2020年 KADOKAWA
【7位】『四つ子ぐらし① ひみつの姉妹生活、スタート!』
ひの ひまり/作
佐倉おりこ/絵
2018年 KADOKAWA
【8位】『ドラゴン最強王図鑑』
健部伸明/監修
なんばきび、 七海ルシア/イラスト
2022年 Gakken
【9位】『ほねほねザウルス ティラノ・ベビーのぼうけん』
カバヤ食品株式会社/原案・監修
ぐるーぷ・アンモナイツ/作・絵
2008年 岩崎書店
【10位】『100かいだてのいえ』
いわいとしお/作
2008年 偕成社
※写真提供:こどもの本総選挙事務局
■「かもしれない」と考えて未来を楽しく過ごして
第1位の『りんごかもしれない』はヨシタケシンスケ氏の絵本デビュー作。「テーブルの上にりんごがあった。でも、これがりんごじゃないかもしれない」など考えることを果てしなく楽しめる絵本。こどもプレゼンターの堀田実乃理さん(小2)は「男の子のいろんな発想がでてきて面白かったし、こんな発想もあるんだと自分にアイデアをくれるから、とても好きです」と語った。著者のヨシタケシンスケ氏は「子供たちは、これから色んなことが起きるかも知れませんが、未来のことを考える時、『かもしれない』という言葉を使って楽しく過ごしてほしい」と感想を述べた。
■残念な一面から動物について学ぶ
第2位の『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』は生き物の残念な一面に光をあてた本。紫外線を浴びると光るサソリ、敵に襲われると死んだふりをするオポッサムなど不思議な生き物122種を紹介。こどもプレゼンターの杉田七海さん(小2)は「生き物の残念なところがおもしろい」として、この本を選んだ。本の監修にあたった今泉忠明氏は「最近は動物学の本を読む時も残念なことばかり考えています。この本を読んで動物について学ぶとともに文章を書くことや読むことについて学んでくれるのがうれしい」と語る。
■予習をすればピンチになっても怖くない?
第3位の『大ピンチずかん』は子供たちの身の回りに起きる大ピンチを紹介してくれる本。どんなピンチがあるかを前もって知っていれば、ピンチになっても怖くないかも?ユーモアあふれるイラストも本の魅力になっている。こどもプレゼンターの後藤奏太さん(小2)は「これから自分にピンチが来たら、どうすれば良いか、予習できるのが良いところです」とコメント。著者の鈴木のりたけ氏は「このように読者の子供に出会える貴重な機会を、これからも続けていってほしい」と語る。