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鹿児島県産の食材などを知ることで食材選択の意識を高める~「かごしまの『食』体験授業」を開催~服部栄養専門学校

2023年12月6日

栄養士や調理師を目指す学生に向けて、鹿児島県産の作物や食材選択に対する意識醸成を図ることを目的に、東京・代々木の㈻服部学園 服部栄養専門学校(服部幸應理事長・校長)は、鹿児島県や鹿児島県経済農業協同組合連合会と協力し、「かごしまの『食』体験授業」を11月29日から12月5日にかけて実施した。

 


■自然豊かな鹿児島の魅力を紹介

「かごしまの『食』体験授業」は調理師本科2年と栄養士科1年が体験。授業の冒頭では鹿児島県東京事務所の担当者が鹿児島県の農業の特徴などを紹介した。鹿児島県は島も含めると南北に非常に長く、年間の平均気温は鹿児島市が19.3度だが、与論島が23.1度となるなど気候が豊か。鹿児島のシンボルでもある桜島は2011年には年間996回の噴火を記録するなど、火山活動も活発なため全国2位の温泉源泉数を誇る温泉県となる。また、世界自然遺産に登録された屋久島や奄美大島・徳之島など豊かな自然が特徴でもある。

鹿児島県東京事務所の担当者が鹿児島県の魅力を紹介


■温暖な気候を活かして農産物を生産

鹿児島県の2021年における農業産出額は4997億円で、北海道に次ぐ全国2位の農業県。その6割を占めるのが畜産で、黒毛和牛飼養頭数は全国1位、豚飼養頭数は全国1位、ブロイラー飼養羽数は全国1位で全国有数の畜産県となる。また、温暖な気候を活かして、冬から春にかけても農産物を生産。じゃがいもなどは鹿児島県本土に加え、奄美地区で2月から4月にかけて収穫することで継続的に新じゃがを消費地に届けることができる。

 


<調理師本科 西洋料理クラス・日本料理クラス>

調理師本科が「かごしまの『食』体験授業」を実施するのは今年で3年目。調理師本科の西洋料理クラスでは1130日、日本料理クラスでは125日に鹿児島黒牛と新ごぼうを用いて調理実習が行われた。

2022年に鹿児島県で開催された、5年に1度の和牛のオリンピックと言われる「全国和牛能力共進会」において、鹿児島黒牛は全9部門中6つの部門で1位を獲得し、和牛日本一に輝いた。また、鹿児島の新ごぼうは、普通のごぼうは直径3cm程度で収穫するが、直径2cm程度の早めの状態で収穫する「若掘りごぼう」となる。普通のごぼうに比べてアクが少なく、香りが良く、柔らかいことが特徴。新ごぼうの産地は鹿児島県、宮崎県、熊本県の南九州の3県となるが年間を通じて出荷しているのは鹿児島県のみ。学生は普通のごぼうと新ごぼうを食べ比べて、歯ごたえや味の違いなどを実感した。

鹿児島 黒牛を調理する西洋料理クラスの学生

西洋料理クラスの調理実習では「鹿児島黒牛もも肉のローストビーフ」と「新ごぼうのスープ」に挑戦。「鹿児島黒牛もも肉のローストビーフ」ではステーキソースとビネガークリームソースの2種類のソースを作り上げ、肉の中心に肉温度をさして計りながらじっくりともも肉を焼き上げた。「新ごぼうのスープ」はスライスした新ごぼうと玉ねぎを炒め、さらに新ごぼうを煮てからミキサーにかけ、シノワでこしていく。さらに、牛乳と生クリームを加えて味を馴染ませたら、バターを加えて仕上げ、クルミオイルをかけて完成させた。

鹿児島黒牛もも肉のローストビーフ

新ごぼうのスープ


<調理師本科 製菓製パンクラス>

製菓製パンクラスでは1130日にミカン科の柑橘類である大将季(だいまさき)を用いて「かごしまの『食』体験授業」を実施。大将季は1997年に鹿児島県の農家の大野孝一氏が不知火(デコポン)の果樹園の中に、果皮の紅色が濃くなっている枝変わりの突然変異を発見。特性調査をした後、2006年に品種登録が認められ、息子の将季さんの名にちなんで「大将季」と名付けた。大将季は果皮を剥いた時に広がる香りや食べた後の爽やかな余韻が特徴。鹿児島県内のみで栽培されており、2021年度の販売実績は841tにのぼる。

大将季を調理する製菓製パンクラスの学生

製菓製パンクラスの学生は調理実習で「大将季のヴェリーヌ」と「大将季のタルトレット」を完成させた。「大将季のヴェリーヌ」ではクレームフロマージュ、コンポート大将季、クレーム ショコラをカップに25gずつ器に流し入れる。さらに、板ゼラチンから戻してスパークリングワインを加えたスパークリングジュレを入れて、仕上げに適当な大きさにカットした大将季を飾り付けた。

大将季のタルトレットを調理する学生

「大将季のタルトレット」は土台となるパートシュクレに大将季のコンフィチール、パータジェノワーズ、大将季のカルチェ、クレームディプロマット、クレームシャンティ、ピスタチオ、大将季のコンフィチュールの順番に盛り付けて完成させた。

 


<栄養士科>

栄養士科では5年前からまめこぞう(実えんどう)を用いた「かごしまの『食』体験授業」を実施しており、今年は1129日・30日に行われた。鹿児島県はグリーンピースの生産量が全国第2位だが、グリーンピースが苦手という子供も多い。それを危惧した鹿児島県はグリーンピースが苦手という子供でも食べられる、甘くて豆くさくない新品種として「まめこぞう」を開発した。

「まめこぞう」の一番のポイントは甘みが強いことだが、その他にも収穫期が5月から11月で、ほかの品種よりも早い時期にたくさん収穫できるという特徴がある。その名前は指宿市の山川高校の生徒が命名したもので、「ま」んまるで、「め」っちゃあまい、「こ」どももだいすき、うまい「ぞう」から考案された。さやと実の部分は大きく、色味が薄くあざやかで、従来の品種と比べて苦みや青臭さが少なくなっている。現在、まめこぞうは量販店で販売されているほか、レストランでも食材として利用されるなど都内でも見かける機会が多くなっている。

 

1130日の「かごしまの『食』体験授業」で、栄養士科の学生は「まめこぞう」の味を確かめるため、実際にグリーンピースなどと食べ比べて、味の違いや食べやすさを実感。さらに、生産農家の生の声を聞くため、鹿児島県とオンラインでつなぎ、JAいぶすき「スナップえんどう部会」の西山部会長に質問する機会が設けられた。

リモートで生産農家に質問する栄養士科の学生

学生「まめこぞうの一番おいしい食べ方を教えてください」

西山部会長「そのままでもおいしく食べられるので、塩を加えて、まめごはんにして食べるのがおすすめです」

学生「鹿児島県は台風も多いと思いますが台風対策などはとっていますか。また、近年の異常気象などの対策はとっていますか」

西山部会長「まめこぞうは屋外で栽培しており、風害に弱いため台風の時は防風ネットなど防風垣を設置しています。それでも限界はあるので農家では台風の直撃などは避けてくれることを願って栽培しています。また、えんどう類は寒害にも弱いため、収穫前に寒い日があると大きな影響を受けます。農家にとって栽培したものが収穫できないことは最大の痛手です。そのため自然と向き合いながら、おいしいものを提供できるよう頑張っています」

学生「鹿児島県がグリーンピースの生産量全国2位と初めて知りましたが、鹿児島県とグリーンピースのつながりについて教えてください」

西山部会長「実えんどうなどはハウス栽培が難しく、その多くが屋外で栽培されますが、えんどう類は寒さに弱いです。そのため温暖な気候である鹿児島県が収穫には適しており、それが生産量の高さにつながっています」

学生「まめこぞうの開発にはどれぐらい時間がかかりましたか」

西山部会長「まめこぞうの開発に向けて、2001年から交配を重ね、ようやく2012年に品種登録することができました。そこから生産量を高めるため試行錯誤を繰り返して、ようやく安定したのが2017年頃。新しいものにチャレンジする際は時間もかかり困難の連続ですが、それを乗り越えて、よりおいしいものを提供することができます」

まめこぞうを調理する栄養士科の学生

栄養士科の調理実習では「まめこぞうのスープ」と「まめこぞうのポンデケージョ」に挑戦。「まめこぞうのスープ」は、蒸し焼きにした玉ねぎとじゃがいもに、まめこぞう、水、コンソメを加えて煮た後、牛乳を入れてミキサーで攪拌。中火で温め、塩と白こしょうで味を調えた。「まめこぞうのポンデケージョ」は、ゆでたまめこぞうをあらくつぶし、さっと炒めて少々の塩で味付ける。さらに、水、牛乳、油を入れて沸騰直前で火を止める。それをボールに入れたタピオカ粉と混ぜ合わせ、冷ましたまめこぞうと粉チーズ、溶き卵を加えて混ぜ合わせる。できあがったものを丸めていき、180度で10分焼き上げて完成させた。

まめこぞうのスープ(左)とまめこぞうのポンデケージョ(右)

 

日本の様々な食材を知ることは栄養士にとって献立を考える際に重要なこと。その食材をおいしく食べてもらうには、どうすれば良いかを学校や家庭に向けて発信する将来の栄養士にとって「かごしまの『食』体験授業」は貴重な体験となった。

 

服部栄養専門学校

かごしまの「食」ウェブサイト

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