兵庫県尼崎市と東洋大学は、富士通と実施している特殊詐欺未然防止技術の共同研究において、生成AIで電話による特殊詐欺の手口を再現するAIトレーナーと、リアリティのある会話形式で訓練ができる特殊詐欺防止訓練AIツールを開発した。11月30日と12月1日には、本ツールを使った詐欺疑似体験会が、市内の高齢者を対象に行われた。
訓練AIツールを用いた疑似体験のイメージ
従来、特殊詐欺被害の防止対策としては、自治体や警察による講習会などの方法が一般的だが、高齢者が実際に詐欺の手口を体験する訓練はなく、防止対策に最新の手口を迅速に反映させるのが難しいといった側面がある。
そこで３者は、犯罪心理学の知見をもとに明らかにした特殊詐欺の骨組みと、生成AIを融合するコンバージングテクノロジーにより、最新の手口を含む電話での様々な特殊詐欺を再現できるAIトレーナーを開発した。
プロンプト自動生成技術
これにより、本訓練AIツールでAIトレーナーとの会話形式による最新の手口の体験が可能となり、高齢者は自身の防犯意識を高めたり、実感に基づく対策を打つことができるようになる。
市は11月30日、12月1日の両日、本訓練AIツールの有効性を検証するため、市内在住の高齢者を対象とした詐欺疑似体験会を実施した。本ツールによる防犯意識向上効果を評価するとともに、取得したデータを活用してAIトレーナーの機能や性能の向上に取り組む。
今後3者は本共同研究の成果を通して、超高齢社会においても高齢者が安心安全な生活を送れる環境づくりに貢献することを目指す。
