NTT東日本埼玉支店とNTTスマートコネクトは11月20日、さいたま市における、長期欠席している児童生徒の「仲間と学びあえる新たな学び舎」の整備に向けて、NTTスマートコネクトが提供する「3D教育メタバース」の活用実証を開始した。不登校児童生徒への支援として3Dメタバースを活用する取り組みは埼玉県内初という。
さいたま市教育委員会では、昨年4月から「不登校等児童生徒支援センター(以下「Growth」)」を開設し、ICTを活用した学習支援体験活動等を通して、学ぶ喜びや仲間とのつながりを実感し、社会的に自立していくことをめざしてきた。Growthの支援活動の結果、オンライン授業や個別学習等を通した知識習得だけでなく、長期欠席となっている児童生徒にも「オンライン上での居場所や交流の『場』を確保し、仲間と学びあう新たな学び舎の必要性」が顕在化していた。
そうした背景から、Growthでは、実証事業を活用し、不登校の児童生徒の新たな学び舎を確保できないか検討。無線LAN環境の構築等でGrowthの活動を支えてきたNTT東日本は、Growthの教職員から「実証に向けて、2D空間ではなくよりリアルな空間で臨場感のある交流ができるメタバースがないか」、との相談を受け、NTTスマートコネクトと連携し3D教育メタバースの導入に至った。
仲間の存在や距離を実感できる臨場感のある3Dメタバース空間を活用し、性別や容姿を気にせず自己表現ができるアバターを通じたコミュニケーションによって、協働的な学びの授業や行事等に活用していく予定。実施期間は2024年3月31日まで。各者の役割は以下のとおり。
実証にて採用する3D教育メタバースは、探究学習やアクティブラーニング、他校との交流授業などで活用できるよう教室や集会所、小ルーム(面談室)、アクティブラーニングルームなど、教育に特化した仮想空間を提供しており、授業や全体集会、グループワークや面談といった学校特有の様々なシーンでの活用できる。
仮想空間ならではの3Dオーディオによる臨場感のある会話や、翻訳も含めた音声の自動テキスト化と吹き出し形式での表示等の充実したコミュニケーション機能だけでなく、音声や映像等のログ保存による出席確認や児童生徒達の活動状況の振り返り、テキストチャットの冒涜フィルタ等、仮想空間での学び舎として適したサービス内容となっている。
今回の実証によって、今は孤独な環境にいる不登校の児童生徒が仮想空間でつながることで、同じような悩みや環境にいる仲間の存在を感じ、アバターによるコミュニケーションを通じて学びあえる新たな学び舎を築くことで、誰一人取り残されない教育を実現し、自分の力で社会的に自立していける支援をめざすとしている。