インターネットイニシアティブ(IIJ)はこのほど、千葉市立の全学校168校が利用する教育情報ネットワーク「CABINET」の更改案件を、千葉市教育委員会から落札したと発表。
CABINETを構成する学習系ネットワークと校務系ネットワークおよびシステムをリニューアルする。新たなデータセンターでの学習・校務システム用の仮想基盤の構築やシステムの移行をはじめ、データセンターからの300Gbpsの帯域保証型インターネット接続環境、学校等拠点とデータセンターとを、それぞれ1~3Gの専用回線で結ぶWANに加え、学校等拠点への7,700台以上のネットワーク機器や、提供サービスすべての運用保守とヘルプデスク設置等を行い、学校現場において高度な情報教育を実現するICT環境を包括的に提供する。
なお、300Gbpsの帯域保証型インターネット接続サービスの提供は、同社における単独団体向けの契約としては、ネットワーク事業者を除いて過去最大級だという。
千葉市教育委員会では1999年より、情報教育の高度化、校務作業のICT化による業務効率化を推進するため、教育情報ネットワーク「CABINET」整備事業を実施しており、2011年には市立の小中特別支援学校の全教職員と生徒用にPC端末を導入し、大規模なシンクライアントシステムを構築するなど、先進的なICT環境の整備を進めてきた。
昨今は、教育現場においてクラウドの学習コンテンツやテレビ会議等の活用が急増したことから、ネットワーク帯域の不足や遅延など通信品質に問題が生じるケースが増え、また今後はICTを活用したアクティブ・ラーニングの導入や、デジタル教科書、CBTの本格活用など、高い通信品質を前提とする教育施策を推進していく方針であることから、帯域不足や遅延のない高品質で快適なネットワーク環境の確保が大きな課題となっていた。
今回のCABINET更改では、すべての学校等拠点168ヵ所から各1~3Gbpsの専用回線(帯域保証型WAN)合計271本でIIJのデータセンターに接続したうえで、データセンターから300Gbpsの帯域保証型回線を経由しインターネットに接続するネットワーク環境を構築。
拠点毎にISPに直接接続する方式(ローカルブレイクアウト)と比較し、ユーザ側で自由に帯域を制御出来ることから、高品質で快適なインターネット接続環境を確保することが可能となる。
また、データセンターには各認証基盤や、学習・校務システム及びコミュニケーションインフラ基盤、セキュリティ基盤を構築し、児童・生徒をインターネット上の脅威から保護するとともに、学習業務や校務で取り扱う機密性の高いデータも安全に管理する。運用期間は2025年1月~2029年12月。