世界最大規模の世論調査会社イプソスは9月21日、世界29カ国を対象に行った「教育に関する意識調査2023」の結果を公表した。調査の結果、「自分の子供や知り合いの若者に、教員になるよう勧めたい」という設問に「そう思う」と答えた日本人19%で、29カ国中2番目に低いことがわかった。
調査は、今年6月から7月にかけて、世界29カ国の10代〜70代23,248人を対象にオンラインで実施した。
「自分の子供や知り合いの若者に、教員になるよう勧めたい」という設問に「そう思う」と答えた日本人は19%。29カ国中2番目に低く、各国平均値(43%)を大きく下回った。「そう思わない」と答えた割合は63%、29カ国中上位4番目。
「あなたの国では、大半の教員に十分な給与が支払われている」という問いに対し、「そう思う」と答えた日本人は31%で半数以上が十分ではないと考えていることがわかった。なお、給与については、先日発表された経済協力開発機構(OECD)による報告書「図表でみる教育2023」でも、日本の教員給与が加盟国の平均を下回り、給与の競争力が乏しい状況であるとの指摘がある。
「あなたの国では、大半の教員が仕事に熱心に取り組んでいる」という設問に「そう思う」と答えた日本人は47%で、同率の韓国とともに29カ国中最下位。「そう思わない」と答えた割合は36%、29カ国中上位6番目となっている。
「あなたの国の教育システムが直面している最大の課題は何だと思いますか?(複数回答3つまで)」という設問に「教員教育が不十分」と答えた日本人は40%で29カ国中2番目に高い数値。課題の選択肢として、他には「時代遅れのカリキュラム」「教育を受ける機会が不平等」「教室に生徒数が多過ぎる」「公的資金の不足」「インフラが未整備」「政治的/思想的偏見」「テクノロジーが十分に活用されていない」「中退率が高い」「安全と安心」があるが、日本において各国平均値を大きく上回る数値が出たのは「教員教育が不十分」のみだった。
今回の調査結果について、同社代表取締役社長の内田俊一氏は以下のように述べている。
「日本における深刻な教員のなり手不足の状況が、今回の調査でも如実に表れたと感じます。教職へのイメージ、社会的地位、教員研修のクオリティなど、教員・教育に向けられる評価が、諸外国に比べて著しく低い結果となりました。本来時間を割くべき授業への工夫に必要な時間が取れない、授業以外にも時間がとられるなど、教員をとりまく環境は非常に過酷なものと言えるでしょう。
現在、文部科学省では「学校における働き方改革」が進められています。こうした抜本改革や教育研修のあり方、内容の見直しによって、教育の質の向上、教員不足の解消、さらには教員の社会的地位の向上が早急に推進されていくことを期待します。今後も継続的に調査を行い、どのような変化がみられるのかをまたお知らせします」。
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イプソス株式会社