イー・ラーニング研究所は、子供がいる親を対象に「チャットGPTを始めとする生成AIの教育現場での活用に関する意識調査」を実施した。調査の結果、親自身のリテラシー不足に懸念はあるものの、将来を見据えた学習効率化への期待が集まり、生成AI活用への注目度が高いことがわかった。調査は今年7月、全国の子供を持つ親・親族に子供がいる方計498人を対象に行われたもの。
チャットGPTなど『生成AI』の教育現場での活用が進んでいる中で、「話題の『生成AI』について知っていますか<SA>」の問について、「名前だけ知っている」(186)と「使ったことはないが機能などは知っている」(166)という回答が多く、知っているものの使ったことがない親が約7割。この結果から、生成AIの認知度は高いものの、日常生活への浸透はまだ進んでいないことがわかる。
「チャットGPTなどの生成AIを教育現場で活用することに賛成ですか<SA>」の問では、「賛成」(299)が約6割、「わからない」(179)が3割以上。生成AIの活用へのポジティブな意見がある一方で、実際に日常的な活用はできていない中で、まだ判断しかねていることがうかがえる。
また、賛成と回答した方に「特にどんな点に期待しますか<MA>」と聞いたところ、1位が「効率よく学習できる点」(197)、2位が「将来的に使いこなせるようになるべきツールである点」(195)、3位が「主体的に物事を調べるようになる点」(162)となった。現在の学習に役立てるだけでなく、将来的に生成AIがより身近な存在になると考え、早い段階から慣れ親しむことを望んでいる親が多いことがわかる。
その一方で、「いいえ」と回答した方に、「反対の理由を教えてください<MA>」と聞いたところ、「思考力が育たなくなると思うから」(20)に続き、「考えずになんでも聞いてしまう癖がついてしまうから」(19)が多い。子供が主体的かつ効率よく学習できる点には期待しつつも、自身で考え、情報の取捨選択する力に不安を感じていることがうかがえる。
「子供はチャットGPTなどの生成AIをいつからから活用するべきだと思いますか<SA>」の問では、「小学校低学年」(135)と「小学校高学年」(122)に回答が多く集まった。「小学生より前」(69)も加えると、6割以上が小学生のうちに活用するべきだと考えているようだ。
その一方で、「生成AIの教育現場での活用について、いくつか問題視されている点もありますが、特にどの点が問題だと感じますか<MA>」では、1位が「思考力が育たなくなる点」(266)、2位が「本人らしい個性的な考えが出せなくなってしまう点」(254)、3位が「誤った情報を学習してしまう可能性がある点」(217)となった。
また、「生成AIを教育現場で活用するためにどんな取り組みが必要だと思いますか。<MA>」の問について、最も回答が多く集まったのは「生成AIに潜む課題を子供に理解させる」(320)。次いで、「生成AIを使う場合や時間、科目などを具体的に決める」(233)、「親の理解を高める」(216)と続き、決まりを作った活用と、教育者や親のリテラシー向上が必要だと感じていることがわかった。
「家庭学習でも生成AIを使いたいと思いますか<SA>」の問では、8割近くが「はい」(385)と回答し、日常から生成AIの活用に意欲的であることがわかる。
また、「家庭学習で生成AIを使う際にどんなことに注意したいですか<MA>」と聞いたところ、半数以上が「生成AIを使う学習と使わない学習で分ける」(257)を選択し、次いで「親の目が届く場所で生成AIを使うようにする」(192)となった。
子供の頃から、生成AIを積極的に学習に取り入れていきたいと感じるからこそ、ルールを定め、親の目が届く場所で使ってほしいという思いが見て取れる。