角川ドワンゴ学園の私立通信制高等学校であるN高等学校・S高等学校とベネッセコーポレーションは、2020年度より両者共同で学力・学習習慣に関するオンライン型アセスメントを開発し、今年度同校で希望する生徒6,500人以上に対して自宅端末からのアセスメント実施とデータを活用した進路指導を実現した。
N/S高とベネッセでは、従来、生徒が学校に登校して一斉に紙で行っていた、ベネッセの既存アセスメント「スタディーサポート」(基礎学力と、学習習慣や進路志向性を測定するアセスメント)に注目し、生徒が全国各地の自宅で学ぶという通信制高校の特徴に合わせ、自宅端末から受験可能なオンライン型のアセスメントを開発した。
4年間にわたる連携のなかでは、自宅で生徒がアセスメントを受験でき、かつ教職員の負担を増加させないという点を重視して双方の視点から提供内容の検証や改善に取り組んだ。
例えば、生徒の自宅受験環境を配慮し、スマホのみ保有する生徒へ対応した「スマホ受験対応」、時間を分けて受験できる「中断ボタンの設置」などを行った。また、教職員の負担を増加させない働き方改革の視点からは、負荷なく受験率を向上させる一斉配信の「リマインドメール」の機能実装なども行った。これらは現場の実践から生まれた新機能だ。
<今回取り組んだオンライン型アセスメントの画面イメージ>
こうした改善点を取りこみながら実施規模の拡大を図り、2022年度は6月・12月のアセスメント実施で、合計12,000人以上、2023年度も6月には6,500人以上の生徒がアセスメントを受験した。今後も同様にアセスメントを実施し、半年ごとの学習の成果や、学力の伸長を測る予定だという。
同高の生徒は、オンライン授業によって場所や時間を問わずに学習が可能という通信制高校の良さを享受しながら、従来は登校しないと受けられなかったベネッセの全国最大規模(年間のべ約180万人が受験)の高校生向けアセスメントにも参加できた。
同高では、より正確に基礎学力の測定や指導後の定着状況を把握し、そのデータを元にしたメンター(※同高では生徒指導等を行う教職員のことをメンターと言う)からの個別指導や進路面談などといった生徒の進路支援を充実させていくことが可能になった。
また1〜2年次にアセスメントを受けた生徒は、3年次に志望進路が決まっている率が高いという成果も出ているという。
今後両者は、共同研究を通じて、アセスメント受験環境にとどまらず、受験後の結果閲覧や解答解説の利用、復習の充実など、生徒の学力向上につながる仕掛けを充実させていく考えだ。