NPO法人みんなのコードはこのほど、 Google 、セールスフォース・ジャパンの支援のもと、日本国内の学校教育におけるプログラミング教育・高等学校「情報I」の現状に関する報告書を公開した。
前回調査(2021年12月発表)では、急速に進んだ社会のデジタル化を背景に、教育現場や家庭でもプログラミング教育の必要性が認識されていた。しかし、コロナ禍で教育現場は混乱しており、GIGAスクール対応の影響でプログラミング教育の実施が後手に回っている状況が垣間見られた。
前回調査から1年半経った2022年度末に、再度コロナ禍3年目の教育現場や家庭におけるプログラミング教育の現状を調査した。今回の調査では、前回調査との比較に加え、高校教員向けの調査を新設し、プログラミング教育及び高校「情報I」の現状を取りまとめている。
本調査は、全国の小学校教員1,036名、中学校教員1,539名、高校教員550名、小・中・高校生およびその保護者3,000組を対象にアンケート調査を実施した。加えて、保護者18名へグループインタビューを行い、定性的な調査も実施。なお、中学校技術分野教員向けアンケート調査は、全日本中学校技術・家庭科研究会との共同調査、高校情報科教員向けアンケート調査は、アシアルからの協力を得て実施した。
児童・生徒がプログラミングに興味を持ったと手応えを感じる教員が前回調査と比較すると大幅に増えている。これは、プログラミング教育の実施率が増加したため、実践を重ねていくことで児童・生徒の意欲関心も高まり、教員の苦手意識が払拭され、手応えに変わっていったものと考えられる。
◎プログラミング教育を経験した児童の反応(小学生)
◎プログラミング教育を経験した生徒の反応(中学生)
高校教員からみた、高校入学時の生徒の中学校段階におけるプログラミング教育への理解について、「ほとんどの生徒が理解していない」「一部の生徒が理解している」がそれぞれ4割超、合わせて9割近い結果になった。
Q:中学校「技術・家庭科(技術分野)」でのプログラミング学習の印象について、最も近いものを選択してください。
高校教員調査の中で、多くの教員が「情報」を担当することに対して、ポジティブと回答。しかし、2025年から大学入学共通テストに「情報」が新設されることに対しては、81.7%の教員が不安を感じている。加えて、82.7%の教員が、「情報I」全体として「授業時数が少ない」と回答している。
Q:大学入学共通テスト「情報」への対応について、どのように感じているか、最も近いものを選んでください。
Q:「情報I」全体としての授業時数についてどのように感じますか?
自分が将来プログラミング関連の仕事に就くと思うかという設問に対して、「とてもそう思う」「そう思う」と回答した児童・生徒は、全ての学校種において、女子よりも男子の方が高く、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」と回答した児童・生徒は、全ての学校種において男子よりも女子の方が高い。
また、プログラミングの学習を継続したいかどうかに関して、「これ以上に学びたいとは思わない」と回答した割合も、全ての学校種において女子の方が高い結果となった。特に、高校生女子は「これ以上に学びたいとは思わない」が全体の半数を超える。
Q:自分が将来プログラミング関連の仕事に就くと思いますか?
Q:プログラミングをもっと学んでみたいと思いますか?
調査結果をとりまとめた報告書は下記サイトでダウンロードできる。
▶︎「2022年度プログラミング教育・高校『情報Ⅰ』実態調査」報告書