ポプラ社と日本総合研究所は、2022年7月から長崎市内の4つの市立小学校において電子書籍・電子事典サービスを試行的に導入しており、昨年度末、本取り組みが児童の読書環境や学習に及ぼす効果などについて調査を行った。このほど、その調査結果を取りまとめ、公表した。
◎導入先
長崎市内の4つの市立小学校(学校周辺に大規模書店や市立図書館が少ない市立小学校から選定)
◎導入内容
ポプラ社の電子書籍読み放題サービス「Yomokka!(よもっか!)」および電子事典などを閲覧できる調べ学習応援サービス「Sagasokka!(さがそっか!)」について、対象校で利用されているインターネット接続が可能なタブレット端末を通じて、教職員および児童が学校や自宅で自由に利活用できることとした。それぞれの利活用方法については、授業で活用する・しないも含め、個々の教職員の裁量とした。
◎導入期間
2022年7月~2024年3月
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◎電子書籍サービス導入による児童の読書習慣などに対する効果
タブレットからさまざまな書籍を閲覧できるようになったこと、児童がデジタルサービス上の機能に関心を持ちやすいことから、長期休業中やすき間時間、帰宅後などの読書機会の増加につながった。また、一度に複数人で同じ書籍が利用できるため、教職員からは授業や課題で使いやすいと評価された。
電子書籍サービスによって図書室の利用が減るのではなく、図書室・電子書籍サービス双方から好きな本に出会うことができる、図書室の利用後に新しい本を探す、図書室のイベントに組み込むといった事例が見られた。電子書籍サービスと図書室活動の両立を図りつつ、児童の読書環境を豊かにすることができると言える。
◎電子事典サービス導入による児童の調べ学習・インターネット利用に対する効果
電子事典サービスは、授業で専門用語を調べる場面や調べ学習をする場面で主に利用されていた。児童向けの分かりやすい説明があり、図や写真も見ることができることから、授業で活用しやすいと評価された。
ウェブ上の検索エンジンとは異なり、検索結果が児童向けに分かりやすく表示され、正確な情報や専用のコンテンツが表示される。そのため、安心して調べ学習(あるテーマについて、児童が書籍やインターネット検索などを用いて調べたことをまとめる学習)に取り組めるという意見があった。インターネットを利用する際のリスクを軽減し、児童の情報活用能力の向上につながる機能が評価された。
◎電子書籍・電子事典サービスを学校現場に導入する際の留意点
電子書籍や電子事典サービスの一般社会への浸透はまだ十分とは言えない。学校現場で活用するには、教職員が活用方法や活用事例を知る機会を提供するなどの工夫が必要である。
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