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横須賀高校とNTT、水泳と陸上競技における運動改善に寄与するコツやクセを発見~運動解析の共同研究成果を国際会議等で発表へ~

2023年7月29日

神奈川県立横須賀高等学校と日本電信電話(NTT)は、部活動の運動解析に関する共同研究を行い、水泳のクロールの体幹・上肢運動や陸上競技のクラウチングスタートにおけるセットポジション時の上肢・下肢の荷重分担に関する特徴的な動作を発見することができたと発表。これらの成果創出は、高校生が日々の部活動における課題探求の中で関心をもった運動課題を対象にNTTが所有する計測機器と技術による解析結果に基づいて互いに議論して得られたもの。この事例は、高校・企業連携による、今後の高校運動部におけるスポーツデータサイエンスの価値と、スポーツアナリストの育成環境の価値を高めることに貢献するとしている。

これらの成果は、横須賀高校の水泳部の生徒3人が医工学分野において最大規模の国際会議EMBC(※1)でポスター発表し、陸上競技部の生徒3名人中高生を対象とした国際コンテストGlobal Link Singapore(※2)にて発表する。

 

(※1)EMBC:医工学分野において最大規模の国際会議 45th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society(International Convention & Exhibition Centre) 

(※2)Global Link Singapore 2023:課題研究・探究の世界大会

■背景・経緯

横須賀高校は、2016年度より文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けて、現在は、「グローバルな視点で課題を自ら発見し、科学的思考・論理的思考を基礎に、想像力をもって解決方法を世界に向けて発信できるリーダ」を育成したい生徒像として、3年間の課題探求の必須授業としてカリキュラムを構築している。特に高校1年生の期間では、協力研究機関・大学院・大学等と連携し、研究の第一線で活躍する研究者との研究活動の体験を通じて、研究の知識や研究プロセスを学ぶ取り組みを実施している。NTTは横須賀高校がSSH認定された年から研究テーマを提供し、継続的に連携している。

一方、NTTでは、人々が運動のコツをより効率的に学習することをめざし、一般に言葉や映像を用いて伝達される運動のコツを、運動時の姿勢変化や生体情報から抽出し、そのコツを電気刺激などの感覚刺激によって直接伝達する技術 「運動能力転写技術」の研究開発をしている。運動の特徴を捉えるためのモーションキャプチャ・表面筋電センサ・床反力計などの医療機器認定されたセンサが同期した計測システムが備わる実験環境があり、その環境で培っているデータ分析技術、そして運動学習を促す外部刺激技術の研究をしている。
このたび、横須賀高校とはNTT高校部活動を対象とした多様な部活動の運動のコツやクセの発見に向けて共同研究に着手した。

 

■研究の内容と成果

(1)水泳部

<検証内容>

水中よりも運動計測精度の高い陸上で、水泳の運動解析をすると何を捉えることができるのかを知る目的で調査。調査時では、スマーターキットPROと呼ばれる水泳に利用できる陸上トレーニング器具を各生徒の競泳種目に合わせて取り付け、上半身に配置したモーションキャプチャマーカ30点を赤外線カメラ11台によるモーションキャプチャシステムで3次元計測し、上半身14箇所の筋活動を表面筋電センサで計測した。収集したデータを可視化することで、生徒自身が気づいていなかった動作のクセを確認した。

 

<成果>

生徒たちが事前に各自用意した異なる条件の泳ぎ方で違いを比較したところ、生徒たちが気づいていなかった特徴的な動作が確認された。例えば、自由形のクロールの速いストロークの条件において、体幹の捻り動作には左右差が小さい一方で、肩と肘の高さの最大値に左右差があり、この差は肩甲骨の動かし方の違いによるものであるという発見をした。国際会議では、この発見が陸上トレーニング器具とモーションキャプチャシステムを組み合わせた運動解析によって得られたことをポスター発表する。

 

 

(2)陸上競技部

<検証内容>

速いスプリンターほど身体質量中心(CM)がスタートラインに近いという傾向があると報告した文献を参考に、上肢・下肢の荷重分担における上肢荷重を高めることもその傾向に近しくなると仮説を構築し、その検証目的で調査した。検証時では、横須賀高校陸上競技部生徒6人を対象に、上半身に配置したモーションキャプチャマーカ23点を赤外線カメラ11台によるモーションキャプチャシステムで3次元計測し、全身16箇所の筋活動を表面筋電センサで計測し、床反力計を左右の手それぞれに配置することで上肢にかかる荷重を計測した。

 

<成果>

各生徒に対して、上肢荷重の大きさに応じた身体質量中心とスタートラインの近さを調査したところ、上肢荷重の増加に伴い身体質量中心とスタートラインの距離が近づく傾向であったことが確認され、仮説を支持する結果が得られた。加えて、上肢荷重の増加に伴う筋活動にも多様なパターンがあることが確認された。この発見について、中高生を対象とした国際コンテストで発表する。

 

実験計測状況とモーションキャプチャ画像

 

■各者の役割

<横須賀高校>

  • 水泳部の陸上トレーニングのコツに関する情報収集
  • 陸上競技部のクラウチングスタートのコツに関する情報収集
  • 研究テーマ設定
  • 実験計画の提案
  • 実験の運営
  • NTTが可視化した計測結果に対する仮説の解釈

<NTT>

  • モーションキャプチャ、表面筋電センサ、床反力計で構築された運動計測システムの取り扱い
  • 計測収集データの整理と一般的な運動解析
  • 研究テーマの深堀につながる論文に関する文献調査

 

 

■今後の取り組み

横須賀高校とNTTは2023年度も共同研究を継続しており、研究テーマを深掘りに取り組んでいる。今後、横須賀高校は、本取り組みを通じて得られた知見を生かし、部活動等において更なる運動改善に取り組む。NTTは、本共同研究の研究成果を活かし、更なる運動解析や運動学習の技術発展に取り組む。また、さまざまな研究パートナとの連携拡大を通じ、次世代の研究人材の育成に貢献していく。

 

 

 

神奈川県立横須賀高等学校

 

日本電信電話株式会社

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