埼玉県美里町および川島町は6月、子供のデータを活用する連携プラットフォームを使用した実証事業を開始した。実施期間は2024年3月まで。
本事業では、虐待、産後うつ、発達障害など、支援すべき対象を抽出し、見える化するための情報連携ツールとして、両備システムズの「こどもの杜」が採用されている。「こどもの杜」は、自治体内の関係部署、医療機関、子育て関連施設などの情報を連携し、潜在的に支援が必要な家庭や子供を早期発見し、自治体など関係機関よるプッシュ型の支援へつなげる仕組みとして開発された、子育て関連データ連携プラットフォームだ。
住民記録データ、予防接種歴や乳幼児健診受診歴、障害者手帳等資格情報、手当受給状況、学校の出席日数や学校検診受診歴など管理する部門がそれぞれ異なっているデータを連携し、組み合わせを変えて分析することで潜在的なリスクを可視化、支援を必要としている子供や家庭を早期に発見できる仕組みを構築する。
本事業は、地方自治体が子供に関するデータ連携に取り組むためのガイドライン作りを目的としており、こども家庭庁が実施する2023年度「こどもデータ連携実証事業」9件の一つとして実施される。また、2022年度実証事業と合わせ、自治体クラウド(※)の共同利用で行う事業は初という。
(※)自治体クラウドにおける共同利用とは:クラウドを電子自治体の基盤に利用して、2団体以上の自治体が共同でシステム運用をしている状態を自治体クラウドと言い、共同利用は、自治体クラウドの利用形態のこと。2021年3月時点で713団体が共同利用による自治体クラウドを導入している。
複数自治体での実証結果をもとに、将来的に「埼玉県町村情報システム共同化推進協議会」(美里町及び川島町含め21町村)に参画している自治体への展開を見据え、データの他町村への引継ぎ、アクセス権の設定については、改めて課題を整理し、対応策の検討を行う。