東京都港区ならびに港区教育委員会と学校法人慈恵大学は、これまで区内の小中学校で、がん教育や心肺蘇生実習を行うなど、保健医療や学校教育など幅広い分野で連携し、協力関係を培ってきたが、その連携協力関係をより強固なものとし、地域社会のさらなる発展に広げるため、包括的連携協力に関する基本協定を6月6日(火)に締結した。
■医学部を有する医科大学として、がん教育への講師などを派遣
慈恵大学は港区で唯一の医学部を有する医科大学として、これまでも3歳児検診への小児科医の派遣や小児一次救急への医師派遣、新型コロナウイルス感染症対応におけるワクチン接種会場の提供などを行ってきた。また、学校教育分野では食物アレルギーマニュアルの監修、がん教育への講師派遣などを実施してきた。
■新型コロナ対策で動画教材を作成して小学校に提供
慈恵大学では港区立御成門小学校や港区立御成門中学校において、がん教育、救急蘇生、理科教育などの出張授業を実施。港区立がん在宅緩和ケア支援センター「ういケアみなと」では、小学校高学年の親子を対象に「がん教育」の一環としてのイベントを8月19日に実施する予定。新型コロナ感染症については、予防対策やワクチンなどについて感染症科の医師が動画教材を協働で作成し、区内全小学校や保護者に提供してきた。
■子供の運動器を守るためスクールトレーナーを学校に派遣
(公財)運動器の健康・日本協会が企画、慈恵大学病院が協力して、学校にスクールトレーナーの派遣を予定。保護者や教員と緊密に連携しながら「チーム学校」の一員として、現場レベルで運動器疾患・障害の予防などへの具体的な対応を図るプロジェクトとなる。スクールトレーナーを学校に派遣することで、子供の運動器の健康を守ることがねらい。スクールトレーナー制度は2024年度からスタートする予定だが、そのモデル事業として港区で実施される。
■児童生徒への教育活動や感染症対策を協力して推進
今回の基本協定の締結により、「疾病予防の啓発活動」「健康推進事業の展開」「医療介護人材の育成」「児童生徒への教育活動」「新興感染症対策」「行政データの専門的解析と施策への反映」などを協力して推進する。
【港区長 武井雅昭氏 コメント】
港区では参画と協働の2つを区政運営の柱に据え、大学や企業との連携を積極的に進めてきた。また、慈恵大学では研究活動により得られた成果や知的財産を公的機関や企業と連携して社会に還元し、貢献するために産官学連携の推進に積極的に取り組まれています。この度、保健医療や学校教育などの分野において基本協定を締結することができ、大変心強く思います。この協定締結を契機に、これまで培ってきた連携協力関係が、より強固で継続的なものとなり、地域社会のさらなる発展、区民サービスの向上につながるものと確信します。
【港区教育委員会 浦田幹男教育長 コメント】
慈恵大学の皆様には、学校教育の分野の中でも、特に子供たちの健康について多大なご尽力をいただいております。がん教育による若いうちからの啓発、そしてアレルギー対策など重要な分野での支援にあたってきました。また、修学旅行では看護師を派遣し、子供たちが安心して旅行を楽しむことができるなど様々な面でご協力をいただいております。今回、包括的連携協力に関する基本協定を結ぶことで、さらに子供たちの安全・安心につながるものと期待します。
【慈恵大学 栗原敏理事長 コメント】
慈恵大学は港区の中でも唯一の医科大学として、これまでも港区、港区医師会、歯科医師会、薬剤師会、さらには地域の産業や経済団体と連携し、港区民への医療サポートや情報発信などの活動を続けてきました。港区との具体的な連携事業としては2018年から港区立がん在宅緩和ケア支援センター『ういケアみなと』の指定管理者として患者と家族が住み慣れた地域で安心して療養ができるよう支援や情報提供を行ってきました。その他、乳児検診や小児救急、新型コロナ対策、災害医療、アレルギー対策、がん教育や救命措置の講習などを実施してきました。今後はこれまで築いてきた取組に加え、港区内の大規模行政データを本学の専門的視点から分析・評価し、その結果を区の保健医療事業に反映していきます。