岐阜市立岐阜小学校(岐阜県)とコクヨは5月1日、小学校低学年の課題である家庭学習の習慣化について、IoT文具を活用した実証実験を開始した。新1年生と2年生86名全員に同社の「しゅくだいやる気ペン」を提供し、学校と家庭との新しい関係づくりを検証する。
「しゅくだいやる気ペン」は、市販の鉛筆に取り付けるセンサー付きアタッチメントで、スマホアプリと連動することによって、家庭学習の習慣づくりをサポートするIoT文具。今回、このIoT文具を活用することで、家庭学習における親の伴走環境のあり方を実証検証する。
担任教師から保護者を通じて、合意を得た家庭に対して「しゅくだいやる気ペン」を提供し、児童の日々の家庭学習に使用する。定期的に、アンケートやデータ集計を用いて家庭学習の意欲の変化、習慣化を分析する。
自ら学び続ける子どもを育む土台として、「①机に向かう習慣づくり」と「②家庭学習に取り組む親子関係の土台づくり」の2点に着目し、それぞれの相関や課題を抽出することで、具体的な家庭学習支援のあり方を探る。
実証実験は、同小の新1年生と2年生の全ての児童(86名)を対象に、各家庭で数カ月間にわたって実施し、実証検証終了後、結果を発信する。
岐阜小学校は、昨年度から「一律の宿題」を廃止し、「家庭学習」への転換を図りました。「家庭学習」の主体はあくまで家庭(児童本人・保護者)であると考え、家庭の役割に目を向けたことで「家庭学習」は親子の対話を増やし、親が子の学力・学習状況を知って願いを伝える機会にもなるという考えも生まれました。それでも、この転換が定着するまでは、家庭の実情に応じた支援をしていく必要も感じました。
そんなとき、机に向かう意欲化と習慣化、親子のコミュニケーションが期待できるIoT文具の存在を知り、その活用に大きな可能性を感じました。低学年期の「家庭学習」の目標は家で勉強する習慣を身に付けることで、最初の5分間を集中して取り組めるようになると、集中力と粘り強さが高まります。保護者には、学習環境を整え、学習に向かったことを大いに褒めるように働きかけています。文字の習得には繰り返し書き込むことが有効ですし、見聞きしたことや感じたことを絵に描いて表すことも価値ある学習となります。興味・関心のあることに向かって鉛筆を動かすことは、児童一人一人の可能性を広げることに繋がります。
「宿題」という言葉を用いないことにした岐阜小学校では、このIoT文具を「やる気ペン」と呼んで効果的に活用していきたいと思います。