教員の働き方改革として、その働き方が見直されつつある。しかし、教員の勤務実態を見てみると、前回調査(2016年)と比べて平日・土日ともに在校時間などは減少しているものの、依然として長時間勤務の教員が多いことが、4月28日に公表された文部科学省の2022年度「教員勤務実態調査」(速報値)から明らかとなった。
■教員の勤務実態や働き方改革の進捗状況などを調査で把握
文部科学省は教員の勤務実態や働き方改革の進捗状況などを把握・分析することを目的として教員勤務実態調査を実施。小学校1200校、中学校1200校 高等学校300校に勤務するフルタイムの常勤教員(校長、副校長、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、講師、養護教諭、栄養教諭等)を対象に、2022年8月、10月、11月のうち連続する7日間で調査が行われた。
■すべての職種において教員の在校時間が減少
教員の1日あたりの平日の在校時間を2016年調査と比較すると小学校の場合、校長は10時間37分から10時間23分(14分減)、副校長・教頭は12時間12分から11時間45分(27分減)、教員は11時間15分から10時間45分(30分減)に減少。中学校の場合、校長は10時間37分から10時間10分(27分減)、副校長・教頭は12時間06分から11時間42分(24分減)、教員は11時間32分から11時間01分(31分減)など、すべての職種において在校時間が減少している。
■中学校の「部活動・クラブ活動」は1日あたり40分も減少
教員の1日あたりの在校時間を業務内容別に見てみると、土日については、主に、「学校行事」、「部活動・クラブ活動」(中学校)の時間が減少。中学校の「部活動・クラブ活動」は2016年が2時間09分だったのが、2022年は1時間29分と40分も減少した。
平日については「授業(主担当)」、「朝の業務」、「学習指導の時間」(小学校)が増加し、「学校行事」、「成績処理」(小学校)、「学校経営」(小学校)、「学年・学級経営」(中学校)、「生徒指導(集団)」(中学校)の時間が減少。
「学校行事」では、小学校は11分減少、中学校は12分減少。
「授業(主担当)」は小学校が7分増、中学校が11分増、「朝の業務」は小学校が6分増、中学校が7分増、「学習指導の時間」は小学校が6分増、中学校が4分増。
■通常時と比べて長期休業中の在校時間は短め
8月の長期休業中における平日(20日)のうち、勤務した日数は小学校5.6日、中学校8.4日となっている。長期休業中の勤務日の在校時間などは、小学校は校長が8時間25分、副校長・教頭が9時間15分、教員が8時間04分、中学校は校長が8時間29分、副校長・教頭が9時間19分、教員が8時間26分となり、10月や11月と比べると短くなっている。
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■担任児童数が多いほど長くなる在校時間
担任児童数と在校時間の関係を見てみると、小学校は担任児童数が1~5人は10時間24分なのに対して担任児童数が36人以上は11時間04分、中学校は担任児童数が1~5人は10時間20分なのに対して担任児童数が36人以上は11時間06分となるなど、担任児童数が多いほど平日の在校時間が長くなっている。
■40歳以下の教員の在校時間が前回調査より大きく減少
教員の平日の在校時間を年齢別に前回調査と比較した場合、小学校は30歳以下が前回調査より46分減、31歳から40歳が前回調査より33分減、中学校は30歳以下が前回調査より39分減、31歳から40歳が前回調査より39分減など、小中学校ともに40歳以下の減少幅が大きくなっている。
■有給休暇取得日数は前回調査より2日ほど増加
教員の有給休暇取得日数を前回調査と比較した場合、小学校は2016年が11.6日だったのが2022年は13.6日、中学校は2016年が8.8日だったのが2022年は10.7日と、有給休暇の取得日数が増加している。
■部活動顧問の活動日数は週6日から週5日に減少
部活動顧問の週当たりの活動日数も減少。
週当たりの活動日数を前回調査と比較すると、2016年は週6日~7日が約6割だったのに対して、2022年は週4日~5日が7割以上となるなど週当たりの活動日数は減少した。
■9割以上の小中学校でICTを活用して学習評価や成績処理の負担を軽減
ほぼ全ての小学校・中学校で、学習評価や成績処理について、ICTを活用した負担軽減に関する取組が実施されている。また、約9割の小中学校で学校と保護者間における連絡手段について、メールやWebアンケートフォームなどを活用したデジタル化の取組が実施されている。
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<調査概要>
【調査対象】
小学校1200校、中学校1200校 高等学校300校に勤務するフルタイムの常勤教員
(校長、副校長、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、講師、養護教諭、栄養教諭等)
【調査日程】
2022年8月、10月、11月のうち、連続する7日間について調査
8月期(小・中各400校、高等学校100校)
8月1日~8月7日、8月8日~8月14日、8月15日~8月21日、8月22日~8月28日
10月期(小・中各400校、高等学校100校)
10月3日~10月9日、10月17日~10月23日、10月24日~10月30日
11月期(小・中各400校、高等学校100校)
11月7日~11月13日、11月14日~11月20日(予備週:11月28日~12月4日)
【回収結果】