茨城県は昨年、エン・ジャパンが運営するサービス『ソーシャルインパクト採用プロジェクト』を活用し、茨城県内の中高一貫校・専門高校の「校長」を教員免許不問で公募。1,645人の応募から3人を採用した。4月から各校に配属される。
採用されたのは、遊佐精一氏(つくばサイエンス高等学校に赴任)、生井秀一氏(下妻第一高等学校・附属中学校に赴任)、下山田芳子氏(勝田高等学校・勝田中等教育学校に赴任)。そのうち民間出身は2人で、遊佐氏はバイオベンチャー代表、生井氏は花王株式会社でDX戦略推進センター部長などの経歴を持つ。
遊佐 精一氏
遊佐 精一氏(つくばサイエンス高等学校に赴任)
分子生物学・生化学・細胞生物学・発生工学・免疫学に関して、日本で6年、アメリカで5年、スイスで4年間研究を行っていました。その後、日本のバイオベンチャーに就職して代表取締役を務めました。ここではバイオに関わる企業及び大学、医療機関を含む医療領域における繋がりを得ることができました。
会社の経営は教科書通りにはいかず、決して平穏ではありませんでしたが、教育現場においても、予期しない様々な問題が起こることでしょう。それら問題は経営におけるものと同じとは言えないものの、私のアカデミックなバックグラウンドが学生の研究の手助けに、またマネジメントのそれが学校経営の手助けになればと考えています。
<経歴>バーゼル免疫学研究所(スイス)/フォックス・チェイス癌研究所(米国)/チューリヒ大学附属病院・脳神経研究所(スイス)/東京大学大学院医学系研究科・疾患生命工学センター/テラ株式会社
生井 秀一氏
生井 秀一氏(下妻第一高等学校・附属中学校に赴任)
校長として、グローバルで活躍する起業家的リーダーシップを持った学生の育成に取り組みたいです。私が企業で実践してきたように、創造性を持ったビジネス構築力、多くの人を巻き込むマネジメント能力、逆境に立ち向かうハングリー精神を養い、「変化を受け入れながらもぶれない自分を作る」、そのような人財育成に取り組んでいきたいと思います。
また学校教育とビジネスを結びつける為に、社会課題や地域課題を発見し、それを解決しながら社会的価値創造ができる学生の育成を目指していきたいと思います。「起業家精神を学び実践する事で、人生をもっと自由に、もっと楽しく。」そんな精神を育む学校にしていけたらと考えています。
<経歴>花王株式会社でDX戦略推進センター部長などを歴任。過去3度、同社で社長賞を受賞。
下山田芳子氏
下山田芳子氏(勝田高等学校・勝田中等教育学校に赴任)
私は、国内外の初等中等教育学校で英語を教えた20年間と、国と県の教育行政に関わった10年間を通し、一貫してこれからの日本を支える人財を作るための英語教育を追求してきました。県の教育行政に関わっていた時には、英語のディベート大会や国連での研修など、高校生のグローバル人材育成に係る多くの事業を立ち上げてきました。文部科学省に勤務した2年間では、新学習指導要領の改訂にも携わりました。
これまでの経験を活かし、海外留学や海外大学進学の選択肢を充実させ、海外からの留学生を積極的に受け入れ、多様性を重視した学習環境を構築し、「世界と地域をつないで、地域創生に貢献できるグローカル人材の育成」を推進していきたいと思っております。
<経歴>イギリス英国立教学院/茨城県立守谷高等学校/茨城県立水戸商業高等学校/茨城県立日立第一高等学校/茨城県教育庁高校教育課/茨城県立太田第一高等学校(教頭)/文部科学省/茨城県立勝田高等学校(副校長)/茨城県立勝田高等学校・勝田中等教育学校(校長)
茨城県教育委員会 森作宜民教育長
このたび、本県の校長公募選考におきまして、昨年に引き続き1,600名を超える応募者が集まり、本県の教育に対する関心の高さに改めて驚いております。
本県では全国最多となる13校の県立中高一貫教育校を展開し、令和5年4月には新たに全国初のIT科専門高校であるIT未来高校、県内初の科学技術科専門高校であるつくばサイエンス高校が開校します。
今回、学校改革への強い意欲とリーダーシップを持つ3名の名の方々を採用することができました。外部からの多様で柔軟な考え方を取り入れ、前例にとらわれることなく、今後ますます本県の教育改革が進み、教育先進県として更に注目していただけますようお願い申し上げます。