中央教育審議会は3月8日、2023年度から5年間の教育政策の指針となる「第4期教育振興基本計画」について答申をとりまとめた。中教審では、昨年2月の文部科学大臣諮問を受け、同3月に教育振興基本計画部会を設置、計14回にわたり議論を重ねてきた。
答申では、次期計画のコンセプトに「持続可能な社会の創り手の育成」および「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を据え、今後の教育政策の基本的方針として、▽グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成▽誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進▽地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進▽教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進▽計画の実効性確保のための基盤整備・対話――の5つを掲げている。
今後5年間の教育政策の目標と基本施策として、以下の16の項目を示した。
このうち、「教育DXの推進・デジタル人材の育成」分野では、教育においてICTの活用が「日常化」するよう、初等中等教育段階では、DXの第3段階(※)を見据えながら、第1段階から第2段階への移行を着実に進めるとともに、第3段階に相当する先進事例の創出、高等教育におけるデジタル人材育成、社会教育分野のデジタル活用推進等に取り組むこととし、▽児童生徒の情報活用能力の向上▽教師のICT活用指導力の改善▽数理・データサイエンス・AI教育プログラム(応用基礎レベル)の認定プログラムにおける1学年当たりの受講対象学生数の増加などの指標を示している。
(※)DXの第3段階:第1段階「デジタイゼーション(=電子化)」→第2段階「デジタライゼーション(=最適化)」→第3段階「デジタルトランスフォーメーション(DX)」
また、「指導体制・ICT環境の整備、教育研究基盤の強化」では、教師が教師でなければできないことに注力できる体制を整備し、教職の魅力向上、教師のウェルビーイングの向上を目指し、学校における働き方改革のさらなる推進やICT環境の充実、教師の養成・採用・研修の一体的改革などに取り組む。
「グローバル社会における人材育成」では、英語力について、中学校卒業段階でCEFRのA1レベル相当以上、高等学校卒業段階でCEFRのA2レベル相当以上を達成した中高生の割合を6割以上とする指標を示した。