立命館大学と武庫川女子大学とヤマキは11月、イノベーション創出人材の育成を目的とした立命館大学の「EDGE+Rプログラム」の一環でワークショップを開催した。学生・社会人計9名が立命館大学びわこ・くさつキャンパスの会場に集まり、調理科学とシステムデザインの観点からかつお節のSDGsなアイデアを考えた。
立命館大学「EDGE+R」は、イノベーション創出を担い得る次世代の育成を目的とした正課外の実践型プログラム。多様な受講生メンバーから作るチームで行うPBL(Project-Based-Learning)を主軸とし、チームメンバーと協働して新たな価値創造(イノベーション創出)の面白さを体感する中で、課題を創造・実行・達成する為に必要なマインドとスキルを実践的に身につけることを目指している。
今回のワークショップは、調理学を専門とする武庫川女子大学 食物栄養科学部 本田智巳講師、生産システム工学・システムデザインを専門とする立命館大学 食マネジメント学部 野中朋美准教授、かつお節を製造・販売するヤマキによる産学連携での取り組み。
「【調理科学×システムデザイン】~かつお節でSDGsを考える。システムデザインを通じてイノベーション・創造性を育む~」と題し、かつお節の基本情報やサステナブルな一面に関する講義、種類・削り方別の食べ比べ、システムデザインのレクチャーを踏まえ、SDGs視点でかつお節のアイデアを考案するグループワークを実施した。
<講義>
「かつお節を知ろう」講義では、かつお節の歴史や製造工程についてヤマキ社員から動画を交えて説明。参加者は、削る前のかつお節や様々な商品を手に取りながら熱心に耳を傾けていた。
本田講師の「かつお節のおいしさ・おもしろさ・便利さ」では、グラタンとトマトスープにかつお節を加えることによる味の違いを体感。「かつお節をプラスすることで味が濃くなり、うま味が増したように感じる」といった声が挙がった。
野中准教授の「システムデザイン」講義では、アーキテクチャ設計をレクチャーし、後半のグループワークに向けて、アイデア考案の基礎知識をインプットした。
<グループワーク>
「日常生活の中のちょっとしたことでできる、かつお節で○○が△△になる見たことも聞いたこともないサービス・商品・料理を考えよう」をテーマとしたグループワークを実施した。
前段の講義を踏まえて、それぞれが持ち寄った新しい発見や気づきを基に、世の中にある様々な課題と紐づけながらグループでディスカッション。食品ロス削減に貢献する新しい食べ方提案の他、かつお節に馴染みのない海外の方への訴求案や、食品という枠を超えたかつお節消費の提案など、同社社員も思いつかないような自由で斬新なアイデアが多く発表された。
ワークショップ実施後には参加者から、「普段何気なく食べているかつお節の奥深さに触れることができて、とても貴重な機会となった」「いつもの食事に簡単に取り入れられると知ったため、今後積極的に使いたい」「日本を越えて、世界中の人にかつお節の魅力を知ってもらうべき」などの感想があった。講師を務めた本田講師は、「本ワークショップが、様々な食材についても深く理解するきっかけにつながれば」、野中准教授は「ひとつの食材を深く理解し、その食材から見えてくる社会課題解決をディスカッションできた」と成果を話した。