鹿児島工業高等専門学校でこのほど、学生が同県の離島小学校にオンライン出前授業を実施した。今回オンライン出前授業を行ったのは、奄美大島の笠利小学校、手花部小学校、緑が丘小学校、節田小学校の4校。
本活動は学生による地域貢献活動として、鹿児島県の離島小学校の児童に対して出前授業を行い、科学に対する興味を喚起する科学普及活動。また学生が教える立場となって授業を行うことにより、扱う内容(理科)への学生たちの理解・関心を高め、双方向的なコミュニケーションから学生のプレゼン能力・コミュニケーション能力向上の狙いがある。
授業内容の検討や準備、当日の実施は学生達自身で行い、「光」をテーマとした学生主体の出前授業を実施した。授業の前半は講義、後半は工作とし、小学生が興味を持てるような工夫を凝らした。工作は物品を事前に送り、オンラインで作り方を説明しながら現地の小学生が作成するという新しい試みに挑戦した。
授業前半は「光とは何か」「光の三原色」「光の屈折」などについて、身近な科学現象である「虹」に焦点を当てて講義を行った。児童たちは真剣に講義を聞いており、たくさんの意見も出てきた。
授業後半は、分光シートと紙コップを使い万華鏡のような模様が見える「光の万華鏡」を工作。児童たちは上手にカッターを使い、楽しそうに作成した。分光シートを通した光は色が分かれて見えるため、光の万華鏡では虹のような光を観察できる。光の万華鏡を使うと、教室の蛍光灯は数種類の色の光でできていることが確認でき、太陽光は赤から紫色まで虹のような色が見える。見る光によって、色分かれした際の違い(元々含まれている色の違い)を観察することができ、児童たちは作成した万華鏡で興味深く観察を楽しんでいた。
今回の出前授業を実施した小学校へのアンケートでは、ほとんどの児童から「講義が楽しかった」「工作が楽しかった」との回答があったとう。また、教員からは、「子供たちが興味を持って取り組んでいた」「遠隔、オンラインでの学びをもっと進めていこうと思った」「離島の子供たちにリモート授業の必要性を感じた」「しっかり授業をする高専生に感銘した」などの意見・感想があったという。
授業を行った学生からは、「小学生に授業をする機会はなかなかないので良い経験をすることができました」「説明したときに大きな反響が得られて教えたことに対する実感が湧きました。楽しかったです」という感想があり、学生達自身も良い経験をできたと感じているようだ。
なお、本活動は中谷医工計測技術振興財団2022年度科学教育振興助成の助成を受けて実施した。12月25日には同財団の成果発表会で報告を行う予定だ。