NPO法人カタリバは、オンライン不登校支援プログラムの取り組みから見えてきたことをもとに、官民連携でのメタバース空間を活用した不登校支援施策の可能性を考えるイベントを11月9日に開催する。ゲストには、埼玉県戸田市教育長戸ヶ﨑氏、岐阜県大垣市立東中学校石橋校長を招き、さまざまな立場から不登校の子供たちの支援にあたっている諸氏と共に、オンライン支援の在り方について考える。事前申込制(締切11月8日)。
10月27日に公表された文部科学省の調査(※)によると、日本の小中学校における不登校の児童生徒をふくむ「長期欠席者」の数が、過去最多である約41万人(413,750 人、うち不登校児童生徒は約24万人)に上ることが明らかになった。この数字はここ9年間連続して増加しつづけており、特に今年は、昨年の調査から約13万人増加(うち不登校児童生徒は約5万人増加)し過去最大の増加率となっている。
このように不登校を含む長期欠席の子供の数が増え続けている中で、子供たちをサポートする公的支援が不足しているという課題も見えてきている。たとえば、不登校の子供たちをサポートする「教育支援センター」が設置されている自治体は全国の約6割にとどまっており、実際にセンターを利用している不登校の子供は10.3%に過ぎないといわれている。また、不登校児童生徒などの実態に配慮したカリキュラムで授業を受けることのできる「不登校特例校」は都心部を中心に全国21校のみとなっている。
(※)文部科学省「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
カタリバは2015年から不登校の子供たちへ、家庭訪問や居場所の提供、学習支援などのサポートを実施してきた。2021年からは学校に行けていない子供のためのオンライン上の学び場(room-K)や、不登校の子供を持つ保護者が悩みをオンラインで相談できる窓口を立ち上げるなど、オンラインを活用した不登校支援プログラムをスタート。全国各地の不登校の子供たちとその保護者にとって新しい選択肢のひとつとなれるよう、さまざまな自治体と連携し取り組みを進めてきた。
広島県では、教育委員会の中に「個別最適な学び担当」を置き、県内12市町に不登校SSR(スペシャルサポートルーム)推進校を設置するなどのリアルな支援と並行して、カタリバの運営するオンラインの学び場「room-K」を導入している。広島県の教育支援センターを「SCHOOL”S”」と呼び、そこにアクセスする児童生徒がroom-Kを利用できるようにすることで、個々の状況に応じた学びの支援を実現している。
また埼玉県戸田市では、市独自の不登校支援「戸田型オルタナティブ・プラン」の施策の中ではつながれていなかった「家から出ることが難しい子供たち」にも学びを届けることにチャレンジするために、room-Kを導入しオンラインでの支援に踏み出した。
今回不登校児童生徒の数が過去最多を更新したことを受け、カタリバは11月9日に官民連携でのメタバース空間を活用した不登校支援施策の可能性を考えるイベントを開催する。
前述の通り多様な状況にある不登校の子供たちを支援していくためには、学校・行政・民間が連携して、リアルな支援の場とオンラインの支援の場の両方を用意することが必要である。実際に連携協定を結んだ埼玉県戸田市の戸ヶ﨑教育長、room-Kを導入している大垣市立東中学校の石橋校長を招き、room-Kをどのように活用しているか、利用する子供たちの様子や変化を聴く。このイベントを通し、自治体・学校それぞれの視点から、子供たちの学びの選択肢を増やすためのメタバース空間を活用した不登校支援の現在と今後の在り方を考えていく。
日 時 11月9日(水)19:30〜21:15
形 態 オンライン(Zoomを予定)
対 象 教育関係者、自治体関係者等
参加費 無料
申込締切 11月8日(火)23:59
参加方法 申込み者へ事前にメールで案内する
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