国立情報学研究所・大学の情報環境のあり方検討会は、「第56回 大学等におけるオンライン教育とデジタル変革に関するサイバーシンポジウム『教育機関DXシンポ』」を9月30日10時30分からオンラインで開催する。
◆10:35 学長シリーズ
「北の大地から世界へ:国立大学の経営統合がめざすもの」
長谷山 彰 北海道国立大学機構 機構長
<概要>
2022年4月、小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学が経営統合して国立大学法人北海道国立大学機構が発足した。歴史的に、国立大学では法人運営に当たる経営部門と教育研究を担当する教学部門の役割分担が曖昧であったが、今回、経営と教学が明確に分離し、かつ両者が車の両輪となって教育研究の発展を目指す体制が生まれたことの意義は大きい。
講演では北海道国立大学機構の戦略・ビジョン、新設の教育イノベーションセンター、オープンイノベ-ションセンターにおける三国立大学の教育研究連携活動を紹介する。
◆10:55 素人でもわかるVR
「素人でもわかるVRの本質と可能性(素人でもわかるVRシリーズ 第1回)」
竹村 治雄 特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会 会長/大阪大学サイバーメディアセンター教授
<概要>
COVID-19によるオンライン教育の急速な普及に関連しVRの教育応用が急速に普及しつつある、本講演ではVRおよびその関連分野な進展を振り返り、AR, MRなどの関連技術との関係について解説する。
これにより、VRおよびその関連技術を教育に応用する際に留意すべき点を明らかにし、より効果的な教育応用のために必要な課題を明らかにする。
◆11:10 VRの教育利用①
「ピンチをチャンスに!コロナ禍におけるVRを利用したシミュレーション教育」
佐伯 勇 広島大学病院周産母子センター講師
本田 有紀子 広島大学大学院医系科学研究科 先端生体機能画像開発共同研究講座 准教授
<概要>
2020年からCOVID19感染症パンデミックの影響により、医学教育に大きな影響が生じた。広島大学医学部では文部科学省の「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」の補助金を使用して、株式会社ビーライズ社協力のもと、VRを利用したOSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)練習ソフト「VR OSCE」および、IVR(Interventional Radiology:画像下治療)シミュレーターの開発を行った。VR OSCEは画期的な教材としてすでに販売が開始されており、特許も出願中である。コロナ禍での直接的な接触が制限される状況下において、VRを利用したシミュレーション教育システムを利用することは非常に有用であり、質の高い教育をみんなに提供するというSDGsの概念に則ったものである。広島大学の教育への取り組みとして紹介を行う。
◆11:33 VRの教育利用②
「バイオフォトグラメトリ:3Dデジタル生物標本とそのアーカイブ」
鹿野 雄一 九州大学特任准教授/一般社団法人九州オープンユニバーシティ研究員
<概要>
本研究では世界に先駆けて、独自かつシンプルなフォトグラメトリの手法を開発し、「バイオフォトグラメトリ」と銘打って1400点700種以上のカラフルな生物標本の3Dモデルをオンライン公開した。公開された3DモデルのほとんどはCC BY 4.0ライセンスの下、誰でも自由にダウンロード・利用できる。今回公開した生物3Dモデルは生物学のみならず、様々な分野に応用できると考えられる。例えば生物図鑑は現在2次元画像だが、将来的には、3Dモデルによるデジタル図鑑へと変容していくだろう。また、生物多様性・環境教育・エンターテイメント等に関するメタバースやバーチャルリアリティにもこれら3Dモデルが利用できると期待している。
◆11:53 研究DX
「コアファシリティーを活用した研究データマネジメントの試行」
一村 信吾 早稲田大学研究戦略センター副所長・教授
<概要>
早稲田大学は文部科学省のコアファシリティ構築支援プログラムを2020年度に受託し、現在5年計画の中間点(3年目)を迎えている。プログラムの目的に従い、現在、利用頻度の高い研究用先端設備・機器をコアファシリティーと位置づけ、共用化の促進と全学的な管理・運用を進めている。
早稲田大学の特徴の一つは、コアファシリティーで取得される研究データを、早急な体制構築が要請されている全学的な研究データマネジメントの試行の対象と位置づけていることである。さらに計測分析機器のデータに関しては、共通化(JIS化)されたデータフォーマットでの蓄積・活用も計画している。その概要・現状を報告させていただく。
開催日時 9月30日(金)10:30-(予定)
主 催 国立情報学研究所 大学の情報環境のあり方検討会
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問い合わせ
国立情報学研究所
大学等におけるオンライン教育とデジタル変革に関するサイバーシンポジウム「教育機関DXシンポ」運営担当
dc-sympo@nii.ac.jp