ベネッセホールディングスは、同社が運営する「ベネッセアートサイト直島」(以下:BASN)が2010年から開発・実践を積み重ねてきた「BASN対話型鑑賞プログラム」(オンライン版)の、中学校・高校での第1期実証研究の結果を公表した。
今回の実証研究は、オンラインでのBASN対話型鑑賞の体験を通じて、生徒の変容を客観的に分析・可視化することで、学校現場などに提供する「BASNオンライン対話型鑑賞プログラム」の本格的な開発に活かすことを目的に、今年3月~7月にかけて実施された。
<実施校>
水都国際中学校(大阪)
倉敷商業高校(岡山)
津山東高校(岡山)
修道中学校・高校(広島)
研究方法は、オンラインを利用した対話型鑑賞講座を3回実施(1回45分)。受講前と受講後の生徒自身の自己評価アンケートを実施、アンケートと各講座での生徒個別発言内容の2観点について検証し、学校帳票・生徒個人帳票を出力した。
その結果、非認知能力を含めた自己評価全体について、受講前の数値と全講座受講後の数値との差分平均値を見た場合、47名中37名(78.7%)で自己評価が向上していた。
アンケート項目のうち、特に自己評価(5段階評価)が向上した項目は、興味・関心の広さについて(+0.49ポイント)、自己理解(+0.47ポイント)、やり抜く力(根気)(+0.39ポイント)などであった。見知らぬ作品を注意深く見ること、他者の意見を聞くことで興味・関心の観点が広がったこと、他者との意見との違いから自分の発想・見解などの理解が進んだこと、注意深く作品を見ることでの楽しさを知り、より根気よく見てみることに気づいた点などが挙げられる。
同社では今後、実証研究の規模をさらに拡大、検証データを増やし、オンライン対話型鑑賞の生徒個人への効果や学校全体での学びの効果について実証していく考え。現在、修道高校、水都国際中学校での授業カリキュラムとしての導入も検討中だという。
同社では、アート作品の鑑賞を通じて主体的に考える場を提供したいという想いから、2010年にBASNの美術施設で対話型鑑賞プログラムを導入、さらに2019年からはフィールドをBASN全体に広げた独自の学びの体験プログラムを開発し、学校や法人向けに6つの要素――①見る、②(場を)読む、③知る、④表現する、⑤提案する、⑥(視野を)広げる――から構成する学びの機会を提供している。「BASN対話型鑑賞プログラム」は、その中の「①見る」を活用したプログラムとして位置付けられている。