国立情報学研究所(NII)は日本学術会議の協力を得て、「オープンサイエンスのためのデータ管理基盤ハンドブック-学術研究者のための”個人情報”の取扱い方について-」を作成し、公開した。このハンドブックは研究者がデータを取扱う際の注意点をまとめ、わかりやすく解説したものとなる。
■研究者にとって注意が必要なデータの取り扱い
近年の学術研究では、分野を問わず、多種多様なデータを取り扱うことが増えている。データの利活用は、今後の学術研究を進展させるために極めて重要である一方、取扱いを誤ったときには研究の中止や研究成果の撤回に追い込まれるといったリスクも増える等、その取扱いは容易ではない。
■法制度により学術研究機関でもデータガバナンス体制の構築が求められる
2022年4月から施行された新たな個人情報保護法では、公的部門・民間部門を問わず学術研究分野の規律が統一される。また、安全管理措置等の規定の適用を受けるため、学術研究機関等においても自主規範を策定するといったデータガバナンス体制の構築が求められる。
■作成にあたっては検討会を設置して有識者で議論
「オープンサイエンスのためのデータ管理基盤ハンドブック」の作成にあたってはNIIに「オープンサイエンスのためのデータ管理基盤ハンドブックにかかる検討会」を設置。有識者で議論するとともに、日本学術会議会員ならびに連携会員へのアンケートで集まった疑問点等をQ&A形式で反映するなど、学術研究の実際に沿った内容となっている。
■大学の研究者やアシスタントの利用を想定して作成
ハンドブックの読者は、主として大学等の研究機関に属する研究者を想定。それに加えて企業等民間の研究機関に属する研究者、研究のアシスタントや大学事務、さらには研究機関内の研究倫理審査委員会に携わる人にも有用な内容となるように作成した。
■第1版では個人情報保護に焦点をあて作成
データの取扱いにおいて配慮すべき事項は、個人情報保護にとどまらず、著作権や特許などの知的財産権も含め幅広い領域にまたがっている。今回の第1版では個人情報保護に焦点をあて作成。今後もより研究者にとって有用なものとなるよう、内容を充実していくなどの改版を重ねていく。