2022年5月、教育未来創造会議において、第一次提言が取りまとめられた。この中では、初中段階における文理横断教育の推進、大学の学部等の成長分野への再編、「女性は理工系に向かない」といった偏見からの脱却、奨学金制度の充実など、子供たちの進路に関わる事項も提言されている。本提言については「教育未来創造会議 第一次提言のポイント」として周知用のパンフレットも作成された。
■自然科学分野を専攻する学生の割合を5割程度に
内閣官房 教育未来創造会議は「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について」第一次提言を5月10日に行った。提言では、現在35%にとどまっている自然科学(理系)分野の学問を専攻する学生の割合についてOECD諸国で最も高い水準である5割程度を目指すなど具体的な目標を設定。今後5~10年程度の期間に集中的に意欲ある大学の主体性を生かした取組を推進する。
■あらゆる分野で女性が活躍できる社会へ
また、日本の理工系分野の女性入学者の割合は圧倒的に低くなっていることから、「女性は理工系に向かない」との偏見から脱却し、理工系や農学系の分野をはじめとした女性活躍を進め、女性があらゆる分野で自ら持つ能力を発揮できる社会を、産学官一体となってつくっていく。具体的には「女性活躍プログラムの強化」「官民共同修学支援プログラムの創設」「女子高校生の理系選択者の増加に向けた取組の推進」などが掲げられた。
■家庭の経済事情に関わらず学ぶことができる社会へ
世帯収入が少ないほど、大学進学を希望する割合が低くなる傾向にあることから、給付型奨学金と授業料減免の中間層への拡大やライフイベントに応じた柔軟な返還(出世払い)の仕組みの創設を通じて、誰もが家庭の経済事情に関わらず学べる環境を整備する。
■学び直し(リカレント教育)を促進するための環境整備
社会人の学びは労働生産性の向上につながるにも関わらず、日本の企業は学ぶ機会を与えず、個人も学ばない傾向にある。そこで、学び直しの成果が適切に評価される仕組みを整え、誰もが生涯にわたって意欲を持って学び続けるための支援や環境整備を行っていく。具体的には従業員が学び直しで、好成績を修めた場合における報酬や昇進等で処遇する企業への新たな支援策などを推進する。
■教育未来創造会議 有識者からのメッセージ
また、パンフレットでは日本私立学校振興・共済事業団理事長の清家篤委員、女優でライトスタッフ代表取締役、研究者のいとうまい子委員、ジーンクエスト代表取締役でユーグレナ執行役員の高橋祥子委員など、教育未来創造会議 有識者からのメッセージも寄せられている。