デジタルハリウッドとFSGカレッジリーグ 国際アート&デザイン大学校は、アバター生成・着用アプリケーションbeCAMing(ビカミング)を活用し、学生・教員共に全員がアバターの姿で授業に参加する「メタバース授業」の実施に向けて連携を開始。その先駆けとしてbeCAMingを使用した特別授業を5月23日(月)に実施した。
■メタバースを使用した授業の学習効果を検証
デジタルハリウッドでは「オンライン授業と対面授業の二項対立から脱した質の高い教育を実現」するための「メタバース」活用方法を探るとともに、メタバースを活用した授業の学習効果検証に取り組んでいる。その先駆けとして、福島県郡山市の専門学校「国際アート&デザイン大学校」でbeCAMingを使用した特別授業(実証授業)を5月23日に実施した。
■アバターの着用が学習効果に及ぼす影響を探る
国際アート&デザイン大学校を運営するNSGグループでは、Ed-Tech推進室がコンテンツのデジタル化やICTを活用した効果的な授業の在り方をグループの専門学校と進めている。その一環として、今後はA&DならびにEd-Tech推進室とデジタルハリウッドが協同してアバターの着用が学習効果にどのような影響を及ぼすかの検証を進めていく。
■アバターを着用して2分間のプレゼンテーションを実施
5月23日の特別授業の講師は、デジタルハリウッド大学大学院 佐藤昌宏研究室 研究員の小林英恵氏が務めた。授業のゴールを「学生がオリジナルのアバターを着用の上、オンライン上で2分間のプレゼンテーションを行うこと」と設定した。
■外見や性格を決めてからアバターをデザイン
「自分をどのように演出するか」「どう見られたいか」をテーマに、それぞれ外見・性格・口癖等を決めキャラクターシートを約40分で作成。その後VRoid Studioを使用して約1時間でアバターをデザイン。beCAMingを通してアバターを着用したうえで、学生が一人ひとり作成したキャラクターの自己紹介プレゼンテーションを行った。
■アバターの外見的個性が着用者の行動に影響を与える
また、アバターを着用することで変化する心境や行動、発言内容の変化などについても講義を行った。アバターの持つ外見的個性が、着用者の行動にも影響を与えるという実験結果について、学生らは「陽気な見た目のアバターを着用すれば、授業中ももう少し積極的になれそう」とコメント。アバターを通したコミュニケーションについて理解を深めた。
■アバターを使うことで反応が多くなる傾向に
授業に参加した学生は声優科に所属する1、2年生の計15人。授業の前半ではカメラオンにし実写で参加、授業の後半はbeCAMingを使用してアバターで参加したが、アバターでの参加は実写での参加に比べ、講師の呼びかけや他の生徒に対する反応がより多く見られた。
■スタンプのほか拍手や挙手などのコマンドを使用
また、授業ではbeCAMingの機能であるスタンプを使ったリアクションのほか、拍手・挙手等のコマンドを使用。積極的にコミュニケーションを図る姿が見られ、2時間半に及ぶ特別授業が「あっという間だった」との声も寄せられた。
<beCAMing(ビカミング)とは>
beCAMingとは2021年11月にリリースした、デジタルハリウッド、キッズプレート、Pocket RDとの三社協同による学発プロダクト。オンライン授業のためのアバター生成が簡単に行え、オンライン上で装着できるアプリケーションとなる。デジタルネイティブの価値観に寄り添う、オンラインファーストの学校づくりを支援することをミッションとした文教向けのサービスで、専用機材が必要なく、安価に使用できるところが大きな特徴。
【学生の声】
・アバターを用いることで授業が受けやすくなったり、キャラクターに愛着が湧くということが分かりました。(声優科 1年)
・アバターになることで、授業内で発言がしやすくなりそうだと感じました。また、カメラをオンにしなくてよいので、プライバシーを守れるので良いと思いました。(アニメ声優科 2年)
・今後オンライン授業や、授業外の活動として、アバターを使った配信などでbeCAMingを活用して行きたいと思いました。(声優科 1年)