大分工業高等専門学校 電気電子工学科の石川誠司助教と、大分デバイステクノロジーは「次世代パワー半導体デバイスの開発」に挑戦。この共同研究では高専の特色を活かして、在学中の5年生が主体となって研究開発に取り組んだ。
■不定形構造の電界評価に関する理論展開を検討
この研究は次世代パワー半導体の製造技術構築を目的として、特異形状の半導体接合構造の電界特性解析を行い、実装可能な技術知見を追求するとともに、不定形構造の電界評価に関する理論展開を検討した。
■学生が企業技術者と研究を展開
この研究開発が進むことで、複雑な形状における半導体の性能評価や、構成する部品の材料を変更したときの性能評価をすることが可能となり、短期間における次世代パワー半導体の開発が期待される。研究の実施にあたっては、学生が主体となって企業技術者と議論を行うことで、高専から即戦力となる技術者を育成することを目的としている。
■学生は素子が変わると電界にどのような影響を与えるのかを観察
研究に従事した学生は、様々なパターンの電界解析を行い、素子が変わると電界にどのような影響を与えるのかを観察し、研究結果を積み重ねてきた。様々なデータが揃ってくると、形状による影響がどこに出てくるかを予想できるようになるため、さらに工夫を凝らし、素子の形状や材料をより良いものへ改善していく。
■企業が抱える技術課題を共同研究のテーマとして公募
本共同研究は、大分県の半導体産業の活力創造を目的とした、大分県LSIクラスター形成推進会議の取組の一部となる。「大学・高専との連携推進補助事業」を利用することで、企業が抱える技術課題を共同研究のテーマとして公募し、実現した。さらに、本研究は高専機構が推進するGEAR5.0事業(未来技術の社会実装教育の高度化)の一環としても取り組んでいる。
■今後も引き続き共同研究を実施
大分高専と大分デバイステクノロジーとの共同研究は始まったばかりで、2021年度の研究結果からリード線形状における機器の内部に現れる電界特性を表現することができたが、実用に至るには磁気特性の解明も必要となる。2022年度は機器内の電界特性と磁気特性の関係性を解明するべく、引き続き共同研究を行っていく。