情報経営イノベーション専門職大学(以下、iU)とNECは、学生個人ごとの最適な学びと新しい教育手法の提供に向けて、iUのラーニング・アナリティクス研究と、NECが保有するXR技術および「NEC感情分析ソリューション」を活用した仮想空間授業の実証実験を実施した。
本実証実験での仮想空間イメージ
■仮想空間で学生参加型授業を実施
今回の実証実験では、物理的な制約が少ない仮想空間において、論理的思考力・問題解決力・数量的スキル・情報リテラシー、およびコミュニケーションスキルなどの育成に焦点をおいた学生参加型授業を実施した。
■実証の結果から学生個人の傾向を分析
その結果、装着デバイスから取得した行動データ、およびバイタルデータから感情の変化を分析。学生個々の授業への集中度や興味を持ったポイントなどを確認した。今後、両者はさらなる実証を重ね、実証で取得したデータから学生個人の傾向を分析し、教員が行う学生指導や学生自身の主体的な学びを加速する仕組みに活用していく。
本実証実験での仮想空間イメージ
■先端技術の活用で新しい学び方を提供
また、XR技術や高速大容量・低遅延な通信を実現するローカル5Gなど先進技術の活用によって学びの場所・機会を増やし、メタバース時代における新しい学び方の提供が目指される。
■「NEC感情分析ソリューション」で興味を持ったポイントなどを可視化
NECはVRゴーグルから取得した視線や会話などの行動データやウェアラブルデバイスから取得した心拍変動データに対して、「NEC感情分析ソリューション」を活用。感情変化、覚醒度、会話量を時系列に表示することで学生個々の授業への集中度、興味を持ったポイントなどを可視化した。さらに授業進行中の学生指導へ活用できる可能性を確認した。
本実証実験での受講イメージ
■データ分析に「NEC Digital Platform」を活用
また、データ分析においては、複数データを組み合わせて多角的に分析できる環境を早期に構築するため、DXに有効なAI、生体認証、映像分析、セキュリティ技術などが統合されたプラットフォーム「NEC Digital Platform」を活用した。
■仮想空間における多人数の同時体験などを目指す
今後の実証実験では、学生個々の分析に有用となるデータを特定し、XRコンテンツとデータ分析を活かす授業設計の枠組みを開発していく。また、ローカル5Gを活用し、高度なXRコンテンツの利用や仮想空間における多人数の同時体験や、遠隔地とのシームレスな授業参画などの実現を目指す。
■VRを活用して体験感を持った授業を実施
これによりiUとNECは、個々の学生に最適化した指導や授業設計を支援し、教員の負荷軽減に貢献する。また、授業にVRを活用することで、これまでの動画などを用いたオンライン教育と比べて、より体験感を伴った授業を行い、学生の学習意欲および学習理解度の向上に寄与していく。
＜iU 寺脇由紀准教授、片桐雅二教授、鎌谷修教授による評価＞
本実証における行動データやバイタルデータからの分析は、多様な学生への適切な指導の支援となり、より進化したアクティブラーニングへ客観的な指標を与えることができるだけでなく、学生個人に適した教育や教材を提供するアダプティブラーニングへ寄与すると考えられる。また、教員自身の教育実践への振り返りとして、講義内容や教材が教師の意図した通りの効果を発揮できているか、個々の教員の教育改善へ活用できる可能性がある。
