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「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト 一期生研究発表会」3D技術を活用して調べた海洋生物の研究成果を披露

2022年5月24日

日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として2021年度より発足した「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」。2021年9月から第1回の授業を開始し、9人の中学生研究者(当時)が8か月にわたって最新の3D技術を活用して海洋生物の研究を進めてきた。その集大成となる一期生研究発表会が5月22日(日)に行われた。

一期生(前列)と講師の吉本氏と中村氏(後列)


■9人の一期生が対象となる海洋生物について発表

第一期生のメンバーは3D主任講師である日本3D協会代表の吉本大輝氏を中心に、海洋分野の専門家からアドバイスを受けながら、海洋生物のモデルを3Dで製作するなど全12回にわたって研究に取り組んだ。今回の研究発表会では作成した海洋生物の3Dモデルを手にしながら、対象となる海洋生物の研究成果を披露した。なお、発表を終えた9人のプロジェクト参加者には修了認定証が授与された。

 


【栗山奈月さん(神奈川県逗子市在住 高1)】

栗山さんはウニをテーマに研究を進めた。中学1年の時、神奈川県の水産技術センターを訪問した際、ムラサキウニの研究を見たことがきっかけでウニを選んだという。3Dモデルの制作にあたってはウニをヨウ素液に付け、CTスキャンして内臓をモデリングした。


■ウニの複雑な内臓が3Dで明らかに

これはウニの内蔵とウニに含まれる海水の透過率が同じであるため、そのままではCTで読み込むことができないため。しかし、ヨウ素液に付けても撮影ができなかったため、今回は書籍を参考にしながらモデリングを行った。ウニの3Dモデルを作ることで口や小腸などの各器官の位置も一目で分かるようになった。


■造船の仕事にも3D技術を活かして

将来、造船の仕事に就きたいという栗山さんは、そこでも3D技術を活かしていきたいとする。講師の吉本氏は、ウニの内臓などは平面で描かれているものが多いが、実際には様々な器官が多重構造となっている。これまで平面では分からなかったウニの構造が3Dモデルとすることで分かりやすくなったと評価する。

 


【杉本拓哉さん(東京都文京区在住 中2)】

杉本さんはクラゲについて研究を進めた。モノづくりが趣味という杉本さんは幼い頃から3Dプリンターを使って魚のモデルなどを作ってきた。兄の凌哉さんと一緒にクラゲの採集をしていた杉本さんは新種のクラゲを発見したこともあるという。


■前例のないクラゲのCTスキャンに挑戦

今回、クラゲの内部を調べるためにCTスキャンでモデリングを行ったが、これまでクラゲのCTスキャンは前例が無いことから講師とも相談してヨウ素をクラゲに染み込ませて撮影することにした。残念ながら水槽に入れた状態だと、ヨウ素を染み込ませても写らなかったので、水槽から出して撮影した。

 


■ミズクラゲのカサの切れ込みまで3Dで再現

また、ミズクラゲの3Dモデルを制作した際には、ミズクラゲのカサについている切れ込みの部分まで再現することができた。今回の実験でクラゲをCTスキャンで撮影するのにヨウ素では難しいことが分かったので、次は別の方法も試してみたいと考えている。

 

 


【萩原一颯さん(群馬県前橋市在住 中2)】

萩原さんはモンガラカワハギをテーマに研究に取り組んだ。休日には海に出かけ、魚を採取しては飼育するほど魚が好きという萩原さんは、2年前から漁業を活性化させるため漁業をテーマとしたボードゲームを作り、今年3月にプレゼン大会で発表した。


■ダイバーも恐れるモンガラカワハギの習性とは

モンガラカワハギは一部のダイバーからはサメよりも恐ろしい魚と言われている。フグの仲間であるモンガラカワハギの中には毒を持つものもいる。さらに鋭い歯を持ち、噛みついてくるためダイバーの中には大けがを負った人もいる。モンガラカワハギはカワハギと比べて太く、筋肉質で泳ぐのに特化した体をしているのが特徴。派手な体色はサンゴに隠れる保護色と近づくと危険なことを伝える警告色になっていると思われる。

 


■魚の生態や行動も見逃さない観察眼を評価

萩原さんは今回のプロジェクトで学んだ3D技術を活用して、オリジナルのボードゲームをより良いものにして、多くの人に漁業について考えてもらいたいとする。また、魚の色彩についても3D技術を用いることで解明したいと考えている。萩原さんの魚の形をしっかりと捉え、生態や行動も見逃さない観察眼には講師も驚いていた。3Dで作成したモンガラカワハギは筋肉と皮の部分を透明にして骨を見えるようにした点に高い評価が送られていた。

 


<3D主任講師 吉本大輝氏 コメント>

「この8か月間、皆さんが興味を持ったことに対する打ち込む姿には本当に驚かされました。私たちの身の回りには工業製品の設計やアニメ・ゲームのCGなど、いたるところに3Dの技術があふれています。にもかかわらず日本は3D教育の後進国となっており、社会全体で深刻な3D技術者不足に陥っています。そこで中学生の段階から3D技術に触れることで、将来的に様々な分野で活躍する人材を育成するとともに、それらが海洋研究や海洋開発につながればとの思いから今回のプロジェクトを企画しました」

 


<日本財団 常務理事 海野光行氏 コメント>

「一期生が8か月間で積み重ねてきた研究成果は大変興味深い内容でした。3D主任講師の吉本氏からは、これから3Dプリンターが一家に1台の時代がくると言われました。しかし、データがなければ3Dプリンターは意味がないと言われるようにデータを作成する過程を未来の研究者である子供に伝えていくべきと考える。今日のプレゼンを聞いて、その思いが息づいているのを感じた。ここからさらなる進化を期待している」

 


<海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト 二期生募集概要>

募集締切:202274()

エリア・年齢:都内近郊・関東エリアに在住している中学生

募集人数:9

※海洋に興味がある人、3Dに興味がある人を募集

応募方法:以下のWebからエントリーシートをダウンロードし、メール添付もしくは

郵送で送付

宛先:

【メール】kaiyo-3d@y-artfactory.jp

【郵送】651-0068兵庫県神戸市中央区旗塚通1丁目1-20 長坂ハイツ1階北

一般社団法人3D教育協会 吉本大輝宛

 

海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト

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