新型コロナウイルス感染症の蔓延により2020年度から修学旅行を中止する学校も多かったが、2022年度は3年ぶりとなる関西方面や東北方面へ向かう首都圏の修学旅行生の第一陣を見送る出発式が東京駅や上野駅で晴れやかに行われた。
【2022年度関東地区公立中学校連合 修学旅行出発式】
関東地区公立中学校修学旅行委員会（事務局＝公財・全国修学旅行研究協会）は5月7日(土)、「2022年度関東地区公立中学校連合 修学旅行出発式」を東京駅・東海道新幹線ホームで開催した。
代表生徒からJR東海関係者へ花束を贈呈
■千葉県の6校の中学校が専用臨時列車で関西へ
第一便となる「のぞみ289号専用臨時列車」には、関西方面修学旅行へと向かう、千葉市立轟町中学校、柏市立柏第二中学校、鎌ケ谷市立第四中学校、習志野市立第一中学校、野田市立第二中学校、印西市立小林中学校の千葉県の中学校6校・861人が乗車。
■学校では味わえない貴重な体験を
出発式には6校の代表生徒が参加。はじめに関東地区公立中学校修学旅行委員会を代表して運営委員長である千葉県浦安市立日の出中学校の鳩岡和則校長が「修学旅行のシーズンがはじまるにあたり、出発式を行えることを大変うれしく思います。まだ感染症の心配はありますが、生徒の皆さんは健康に気をつけて実りある修学旅行にしてください。これから皆さんは学校では味わえない貴重な体験をして仲間と楽しい思い出を作ってきてください」と言葉を贈った。
■歴史の重さを自分の目を通して実感
生徒を代表して野田市立第二中学校の佐々弘恒さんから「昨年から京都の見どころや歴史について調べるなど学びを深めてきました。そうした歴史の重さを自分の目を通して感じたいと思います。また、仲間とともに考え行動することで集団行動の大切さを学べる意義深い修学旅行にしたいです」と力強く挨拶が述べられたのに続き、代表生徒からJR東海関係者に花束が贈呈された。
■修学旅行で一生忘れない思い出を
JR東海・東京駅駅長の小笠原均氏は「コロナ禍において色んなことを我慢してきたからこそ、今日という日を心待ちにしていたと思います。旅先で美しいものを見たり、日本の文化や歴史に触れたり、旅先の人と交流することはリモートでは十分にできなかったと思います。修学旅行で一生忘れない思い出を作ってきてください」と安全な旅を願って送り出した。
■関東5県から11万1927人が出発
関修委によると今年度は茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉の5県で関西方面へは748校・10万8636人、その他の方面へは23校・3291人の合計11万1927人が計画列車での移動を予定している。
【東京都中学校長会修学旅行対策委員会 東北方面修学旅行出発式】
東京都中学校長会修学旅行対策委員会（事務局＝公財・日本修学旅行協会）は5月10日(火)に「東北方面修学旅行出発式」、5月17日(火)に「関西方面修学旅行出発式」を行った（北海道方面修学旅行出発式は6月29日(水)に実施予定）。
JR東日本・上野駅の濱﨑副駅長があいさつ
■開進第二中学校の生徒が東北に先陣を切って出発
東京都公立中学校の修学旅行は東海道新幹線修学旅行専用列車と東北、上越、北陸、北海道新幹線の定期列車を利用して実施。「東北方面修学旅行出発式」はJR上野駅構内の新幹線コンコースで、やまびこ357号に乗車する、練馬区立開進第二中学校・182人の生徒を迎えて行われた。
■安全で楽しい修学旅行を願って
はじめに東京都中学校長会修学旅行対策委員会の委員長である東京都葛飾区立本田中学校の光山真人校長が「昨年は修学旅行を実施できた学校や、やむなく中止した学校など様々でしたが、今年度は開進第二中学が東京都の中学校では東北方面の修学旅行の第一陣として出発します。今回の修学旅行にあたっては先生方が綿密な計画を立てて実施に至ったので、この3日間を安全に、そして楽しく過ごしてください」と挨拶を述べた。
■みんなで協力して学びの多い修学旅行に
生徒を代表して同校の今井睦人さんが「これから東北に向かいますが、宮城県では震災・林業・漁業などを学び、岩手県では中尊寺を見学します。この貴重な体験を今後に活かしていきたいと思います。みんなで協力して、学びの多い修学旅行にしていきます」と出発への思いを伝え、生徒代表からJR東日本関係者へ花束が贈呈された。
■震災から復興する東北を見て成長につなげて
JR上野駅の濱﨑淳副駅長は「東日本大震災から11年が経過しました。皆さんは東北地方の現在の復興状況を、ご自身の目で確認してきてください。東北地方には風光明媚な景色や貴重な文化が数多くあります。様々な経験を通して、成長につなげてください。そして何よりも大切な思い出を一つでも多く作ってきてほしいと思います」と述べ、生徒たちを送り出した。
■延べ501校・7万1469人が修学旅行で新幹線を利用
東京都中学校長会修学旅行対策委員会によると、2022年度に修学旅行で新幹線を利用する校数と計画人数は、修学旅行専用列車（東海道新幹線）が466校・6万7344人、一般定期新幹線は東海道・山陽新幹線が26校・2279人、東北・北陸・北海道新幹線が14校・1846人で、延べ501校・7万1469人となる。
