関西大学では全学的に展開している「AI・データサイエンス教育プログラム」を拡充させ、既存の入門編に加えて、実践編の科目を2022年度から開講する。今後、文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」の認定を見据えたカリキュラム展開が推進される。
■AIやデータサイエンスに関する全学的なリテラシー教育を展開
政府が主導するAI戦略を背景に、関西大学はデータサイエンス教育プロジェクトを発足させ、AIやデータサイエンスに関する全学的なリテラシー教育を展開している。2021年度には入門レベルの科目を開設し、2科目合計1,000人超の学生が履修した。
■応用基礎レベルの「実践」編として2科目を新設
2022年度からは応用基礎レベルの「実践」編として「社会のためのデータサイエンス実践基礎」と「AI・データエンジニアリング実践基礎」の2科目を新設。到達目標はデータサイエンスを実践するプロセスならびに、実社会でデータを利用する上で必要となるプライバシー保護や情報セキュリティ、倫理について理解すること。また、AIやデータエンジニアリング技術をもとにデータを加工・分析し、その結果を表現する能力を身に付けること。
■修了要件を満たした学生にはオープン・バッジを発行
「AI・データサイエンス教育プログラム」の修了要件を満たした学生には、修了認定証として関西大学公認のデジタル証明書(オープン・バッジ)を発行する予定。これらの全方位型プログラムに加え、複数の学部・研究科が提供する専門教育科目と連動することで、AI・データサイエンスに関する実践的なスキルや知識を備えた人材を育成する。
<講義スケジュール(予定)>
【社会のためのデータサイエンス実践基礎(春学期 オンデマンド配信型)】
・授業概要
本科目では、データ分析の実践プロセスに沿って、データサイエンス、データエンジニア リング、および人工知能に関する技術について事例を挙げながら講義。また、これらの技術が社会に受け 入れられるために必要となるプライバシー保護や信頼性、倫理に関する知識に関する話題についても取り扱う。
・授業計画
第1回 データサイエンスと社会とのかかわり
第2回 データ分析の進め方
第3回 データの収集と蓄積 (1) データ収集技術や調査実験
第4回 データの収集と蓄積 (2) データベースの構築と利用
第5回 データの前処理・加工
第6回 データの基礎分析 (1) 記述統計量やデータの分布
第7回 データの基礎分析 (2) クロス集計
第8回 データの基礎分析 (3) データ可視化
第9回 分析 (1) データの種類に応じた分析方法の選択
第10回 分析 (2) 回帰
第11回 分析 (3) 分類
第12回 分析 (4) クラスタリング
第13回 分析結果の出力 (1) 分析結果の可視化やプレゼンテーション
第14回 分析結果の出力 (2) システム・ロボット・アプリケーションの開発
第15回 分析結果の出力 (3) システム・ロボット・アプリケーションの開発
【AI・データエンジニアリング実践基礎(秋学期 オンデマンド配信型)】
・授業概要
本科目では、文理、学部の枠を超えて、すべての学生を対象に、AI 技術、データエンジニアリング技術を体系的かつ実践的に教育する。
・授業計画
第1回 人工知能のあゆみと広がり
第2回 AI と社会(倫理、説明可能な AI)
第3回 ビジネスにおける機械学習の基礎と実践
第4回 AI・データエンジニアリングのための MATLAB 入門
第5回 データ駆動型社会とデータサイエンス
第6回 データ加工と分析設計
第7回 機械学習のための基礎数学
第8回 現場から学ぶ データサイエンス・AI 技術による課題解決
第9回 地理情報と経路探索
第10回 ビッグデータとその利用
第11回 特徴にあわせたデータ表現
第12回 深層学習の基礎と実践
第13回 AI データと機械学習
第14回 視覚情報処理とニューラルネットワーク
第15回 ファジィ理論とその応用