大阪教育大学は沖電気工業(以下OKI)と「小中学生を対象とした体育科学習におけるICT活用の有用性検証」に関する共同研究契約を3月10日(木)に締結した。体育の授業中の生徒の体調をモニタリングすることで、児童生徒の身体活動状況の「見える化」による学習・評価の質の向上を実現する。
■体育における児童の運動能力の変化や観察記録が教員の負担に
学校現場では熱中症をはじめとする体調不良、その重症化、死亡事例などが社会問題化している。2020年4月には小学校の学習指導要領が改訂され、体育教科では児童の運動能力の変化や観察記録が成績評価に必要となった。その結果、細かな運動能力のデータ記録・収集・整理のための業務量が増大し、教職員の長時間労働の一因にもなっている。
■ICT技術で被験者の体調管理を実現
OKIでは2021年4月に数100人規模の運動会を想定した実証実験を実施。被検者の体調情報に関して、バイタルセンサー無線ネットワークを用いてリアルタイムにモニターして、その有効性を確認した。
■大阪教育大学の研究にOKIのIoT技術を組み合わせて活用
一方、大阪教育大学は、持久走中の心拍数表示による効果測定など、保健体育科教育におけるICTを活用したヘルスリテラシー育成に関する研究で培った豊富な知識やノウハウがある。共同研究では大阪教育大学表現活動教育系の橋元真央特任講師が推進する、ICTを活用した新たな体育科教育の開発の実践研究に、OKIの強みである無線ネットワーク技術とリアルタイムモニタリングを実現するIoT技術を組み合わせて活用する。
■両者の連携により身体活動状況の「見える化」などを実現
両者は今回の共同研究契約締結に伴い、OKIの技術力と大阪教育大学の知見を融合し、大阪教育大学附属学校園の児童・生徒を対象とした実践的な実証実験を実施するなど、産学連携の強みを活かし、生徒の健康や安全の管理、身体活動状況の「見える化」による学習・評価の質の向上、さらには教職員の業務負荷軽減を実現する。