文部科学省は「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」の下に「新しい時代の学校施設検討部会」と「特別支援教育の在り方を踏まえた学校施設部会」の2つの部会を設置。学校施設の在り方および推進方策について議論を進めてきたが、その報告書が取りまとめられ3月30日(水)に公表された。
■新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について議論
「新しい時代の学校施設検討部会」では1人1台端末環境のもと、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実等に向け、新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について議論を進めてきた。
■「学び」「生活」「共創」「安全」「環境」の5つの姿を示す
新しい時代の学校施設のビジョンとして「学び」「生活」「共創」「安全」「環境」の5つの姿と具体的な空間の在り方が提言された。「学び」に関しては、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向け、柔軟で創造的な学習空間の実現を目指す。
■新しい時代の学びを実現する空間
「学び」において具体的には、1人1台端末環境等に対応したゆとりのある教室の整備、多目的スペースの活用による多様な学習活動への柔軟な対応、教職員のコミュニケーション・リフレッシュの場(ラウンジ)、専門的で高度な学びを誘発する「デザインラボ」、映像編集空間(スタジオ)の整備などが示された。
■地域の人と交流する「共創空間」を目指して
「生活」では健やかな学習・生活空間を実現するため、温かみのあるリビング空間やトイレの洋式化・乾式化、手洗い設備の非接触化などの実現を目指す。「共創」では地域の人たちと連携・協働していく活動・交流拠点として「共創空間」を創出することが目指される。
■安全や環境に配慮した施設に向けて
「安全」では安全・安心な教育環境を実現するため避難所として自家発電・情報通信設備や水害対策などに向け防災機能の強化が目指される。「環境」では持続可能な教育環境を実現するため、太陽光発電設備の導入の促進によりZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を推進する。
■学校設置者における推進方策や国における推進方策を提言
こうしたビジョンの実現に向け、長寿命化改修等を通じ、教育環境の向上と老朽化対策を一体的に推進する等の学校設置者の推進方策や、それを支援する国の方策が提言された。
「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について」最終報告の公表について
■特別支援教育の視点から学校施設の在り方を議論
これからの特別支援教育を支える学校施設の在り方については、障害のある子供と障害のない子供が共に学ぶ場、多様な学びの場の整備等に向け、特別支援教育の視点から学校施設の在り方について「特別支援教育の在り方を踏まえた学校施設部会」で議論が交わされた。
■各学校施設整備指針の改訂等について提言
その結果、特別支援教育を巡る状況等を踏まえ、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等の施設整備で、さらに充実を図るべき視点を示すとともに、それを踏まえた各学校施設整備指針の改訂等について提言された。
■有効に活用できる財政支援の周知等の国の方策などを提言
また、学校施設の計画・整備の事例の整理や有効に活用できる財政支援の周知等の国の方策などが提言された。
「これからの特別支援教育を支える学校施設の在り方について」報告書の公表について