国立科学博物館は、大型哺乳類を主とする「ヨシモトコレクション」の剥製3Dモデルと生物種の様々な情報を図鑑のように閲覧できる「剥製3Dデジタル図鑑 “Yoshimoto 3D”」を公開した。通常展示室では見ることのできない動物を中心に23点（23種）の剥製3Dモデルを、Webを通じて学校や自宅から自由な角度と大きさで閲覧できる。
■1つのページで詳細な情報を表示
「Yoshimoto 3D」では剥製標本としての詳細や、その生物種としての分布や特徴、絶滅危惧種なのか否かといった情報を、1つのページの中で一度にまとめて見ることができる。さらに、剥製一覧では、名前や、大きさ、採集された時期などで並び替えや検索も可能。3Dモデルだけでなく情報も様々な角度から捉えられる。
■普段は展示室で見ることができないコレクション
国立科学博物館収蔵のヨシモトコレクションは、ハワイの実業家である故ワトソン Ｔ．ヨシモト氏（1909〜2004）より寄贈された世界的規模の標本コレクション。高度な技術で作成された約400点の動物剥製を中心に、すでに採集が難しい地域の動物種や採集時の詳細な記録を多数含むことから学術的価値も高い。しかし、その多くは収蔵庫に収められており、展示室で見ることはできなかった。
■23点の哺乳類剥製を3Dモデルに
そこで、ヨシモトコレクションの中から、これまでに作成してきた23点の哺乳類剥製3Dモデルについて、Web上で閲覧可能な「剥製3Dデジタル図鑑 “Yoshimoto 3D”」を開発し正式公開した。剥製3Dモデルそのものだけでなく、多数の情報と各動物種を比較や検索可能なインターフェイスを備えている。
■リンクを通じて知識が深められる
同サイトを起点として、他のデータベースへのリンクを辿り、より多くの多様な生物情報データベースに到達することもできる。他の動物データベースやWeb生物百科事典の関連情報へのリンクも掲載。哺乳類を知るポータルとして学校教育や専門研究、そして一般人の閲覧まで幅広く活用できる。
【Yoshimoto 3Dの剝製サムネイル表示】
標本の和名や採集日、3Dモデルの高さなどでの並び替えができる。また、表形式のリスト表示にも切り替えられる。
【Yoshimoto 3Dの3Dモデル上の説明表示】
動物の①股関節、②膝関節、③足首の位置を表示。人間など他の動物と体の構造を比較して、理解を深められる。
【Yoshimoto 3Dの生物種のレッドリストカテゴリー表示】
外部データベースである国際自然保護連合のレッドリストに記載されている種では、レッドリストカテゴリー（どの程度絶滅のおそれがあると評価されているかのカテゴリー）やそのカテゴリーがいつの評価に基づくものか、個体数の増減傾向などを確認できる。
