制服デザインの変更や女子スラックスの導入など制服に関してLGBTQの生徒に配慮している学校は4割以上、また約3割の学校が服装規定として「自認する性別の制服・体操服の着用を認めている」ことが、カンコー学生工学研究所が実施した調査から明らかとなった。
■全国の公立中学校1194校を対象に制服におけるLGBTQの生徒への配慮を調査
菅公学生服の独自研究機構であるカンコー学生工学研究所は、全国の公立中学校1194校を対象に、制服におけるLGBTQの生徒への配慮とこれからの制服に求める役割と機能性に関するアンケート調査を実施した。
■制服や服装への配慮は4割以上
LGBTQの生徒への配慮として、学校ではどのような取組をしているかを聞いたところ(複数回答)、デザインの変更や女子スラックスの導入など制服への配慮(42.2%)、本人が望む性の制服や体操服の着用を認める服装に関する配慮(41.1%)が、いずれも約4割となっている。次いでトイレ(25.4%)、「更衣室」(24.3%)など設備に関する配慮が多くなっている。
■約3割の学校はLGBTQの生徒が自認する性別の制服の着用を認める
LGBTQの生徒への配慮として、どのような服装規定を定めているかを聞いたところ、最も多かった回答は「自認する性別の制服・体操服の着用」で31.9%。次いで「衣替えの期間の見直し」の19.4%など、現行制服の規定内で柔軟に対応している場合が多い。一方、特に服装規定を定めていないという回答は41.5%に上る。
■約半数の学校が制服のデザインの見直し・変更する方向に
LGBTQの生徒への取組で制服デザインの見直し・変更を考えているかという質問では、制服デザインの「見直し・変更済み」は18.1%、「見直し・変更を行っている途中」は14.2%、「見直し・変更の予定がある」は23.5%で合わせて50%以上を占める。
※見直し・変更の内容
・女子スラックスの導入/女子のスラックス着用を認める
・ブレザー型(男女ともにブレザー/男女兼用ブレザー)の採用
・制服の選択制(スラックスorスカート/ネクタイorリボン)
・男女による商品名表記を避ける(タイプA、タイプB/1型、2型)
■76%の学校が授業で性の多様性について取り組む
性の多様性について授業で取り組んでいるかを聞いたところ「すでに取り組んでいる」(44.7%)、「これから取り組む予定」(31.3%)と回答した学校は合わせて76%を占める。主に取り組んでいる授業は1位道徳、2位保健体育、3位総合的な学習の時間の順となる。
■体制の整備が進むLGBTQの生徒への対応
LGBTQの生徒へはどのような対応をしているかという質問では、「チームや組織を組んで対応している」が24.3%、「当事者の担任の教員が対応している」が11.5%、「養護教諭やカウンセラーが対応している」が11.2%、「担当者を決めて対応している」が2.9%となり、多くの学校で体制の整備が進みつつある。
<調査概要>
調査期間:2021年8月1日~8月31日
方法:郵送にて送付
返信方法:郵送、FAX、Webフォーム
調査機関:カンコー学生工学研究所
回答数:全国の公立中学校1194校