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「いじめ・不登校の防止」に関する調査研究成果をオンラインで報告 大阪府吹田市教育委員会×子どもの発達科学研究所

2022年2月21日

大阪府吹田市教育委員会は、文部科学省から受託した「いじめ対策・不登校支援等推進事業」として「いじめ・不登校等の未然防止に向けた魅力ある学校づくりに関する調査研究」報告会を2月18日(金)にオンラインで開催。これまでの事業成果が発表された。


■いじめ・不登校の防止に向けた動画コンテンツを制作

この受託事業では、子どもの発達科学研究所が全面協力。いじめ防止に向け、イラストレーターを起用したオリジナルの動画コンテンツを制作し、授業で活用することによる効果をデータ分析により可視化することが試みられた。

 


■報告会の様子をアーカイブで配信中

218日の報告会では、吹田市内の学校で実際に動画を使用した授業の実践例や、取組成果の科学的な調査結果が発表された。報告会当日の様子はアーカイブ配信中。また、31(予定)から、当日の様子に解説を加えた動画をYouTubeで限定配信される。

 


■動画は「社会的行動」「感情コントロール」などの観点で制作

今回、制作されたオリジナル動画コンテンツは「社会的行動」「感情コントロール」「仲間づくり」「ソーシャルスキル」といった観点で制作され、様々な状況に合わせて適切なコンテンツを選択できる。さらに解説編では子どもの発達科学研究所の研究員が、科学的理論も交えながら、子供向けにわかりやすく説明している。

 


■いじめを「自分ごと」として捉える

この動画コンテンツを教育活動に取り入れることで、子供たち一人ひとりがいじめ問題を「自分ごと」として捉え、予防や対策の理解が深まることが期待される。さらに、指導者の経験やスキルに依存せず、誰でも一定の水準を保ちながら的確な指導を行うことができることも大きなメリットとなる。

身近なストーリーと親しみやすいキャラクター


■動画は吹田市立センターのWebで公開

動画のキャラクターデザインにはイラストレーターのイモカワユウ氏を起用。同氏の親しみやすい絵柄とやわらかな色合いを活かしつつ、小学校低学年でも理解しやすいよう配慮されている。なお、制作された動画コンテンツは、吹田市立教育センターのWebで無料公開されている。

研究員アバターによる解説


■動画コンテンツを使った学校での成功事例を報告

今回の報告会では、実際に動画コンテンツを使って授業を実施した学校現場から「このコンテンツを使うことで、学級内にあったトラブルが解決に向かった」「支援学級でコンテンツを使ったところ、ともだちづくりの知識を学ぶことができた」などの成功事例もが発表された。

動画コンテンツを使った授業の様子(吹田市内の小学校)


■日常生活によくあるストーリーを採用

また、日常生活によくあるストーリーを採用しているため、「『当たり前』とされてきたスキルを『学ぶ』ことができ、子供たち全員が同じスタートラインに立つことができる」という点でも動画コンテンツは現場でも好評であると報告された。

 


■動画コンテンツを使用した学校と未使用の学校に分けて調査

今回の事業では吹田市内の一部の小中学校を、動画コンテンツを指導教材として使用した群(以下、実施群)と未使用の群(以下、比較群)に分けて計測。動画コンテンツ使用の効果として、いじめ被害の数や、いじめが起こりやすい環境に差異があるかをデータとして収集・分析した。また、令和2年度から継続している「いじめ予防プログラムTRIPLE-CHANGE」への取組が、学校風土にどのような影響を与えているかも調査した。

 


【子どもの発達科学研究所 和久田学主席研究員 報告】

実施群と比較群では、学校風土、いじめ被害率共に今年度は統計的な差は見られなかったが、実施群も比較群も『いじめ予防プログラム TRIPLE-CHANGE』に取り組んでいることから、昨年度から今年度にかけて、学校風土が向上傾向にある。

図1 2020年度からの学校風土得点の変化(子どもの発達科学研究所の発表より)


【解説:(図1)】
学校風土得点は1年の前半から後半にかけて下降するのが一般的だが、『いじめ予防プログラムTRIPLE-CHANGE』を2年間実施することで、得点の降下が抑制され、2020年から2021年にかけて上昇傾向にあったことがわかった。ちなみに20207月は、コロナによる休校の影響で、児童生徒が学校風土を高く評価する傾向にあったことが他地域の調査から分かっている。つまり吹田市における学校風土は、そうしたコロナの影響を受けているにもかかわらず、学校風土が向上していることが明らかである。


【文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室長 鈴木慰人氏 講評】

科学的アプローチは成果が出るまでに時間がかかるため、長期的に取り組むことが重要。今回の新しい取組は教育界に一石を投じるものであり、現代の生徒指導課題に対応していく手段の一つとなり得る。今後の日本の教育界に大きなヒントとなるものであると感じた。この取組のさらなる広がりにも大いに期待している。

 


<開催概要>

「いじめ・不登校等の未然防止に向けた魅力ある学校づくりに関する調査研究」報告会

~動画コンテンツを活用した児童・生徒のスキル獲得を目指して~

開催日時:2022218() 14:0016:30

会場:Zoomを活用したライブ配信(アーカイブ配信あり)

アーカイブ配信:以下のWebから視聴を申し込む

 


<プログラム>

14:00~ 挨拶

主催者挨拶 吹田市長 後藤圭二氏

共催者挨拶 子どもの発達科学研究所 代表理事 片山泰一氏

来賓紹介

来賓挨拶 文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室長 鈴木慰人氏

 

14:20~ 事業趣旨や委託の経緯

吹田市立教育センター 所長 草場敦子氏

 

14:30~ 事業報告① 事業の目的、流れ、根拠となる考え方、コンテンツの紹介

子どもの発達科学研究所 所長 和久田学氏

 

15:00~ 休憩

 

15:10~ 事業報告② 現場での実践報告

吹田市立教育センター 主幹・指導主事 加藤弘靖氏

吹田市内小学校 池田美有教諭

吹田市内中学校 宮﨑貴也教諭

 

15:40~ 事業報告③ 調査結果報告

子どもの発達科学研究所 所長 和久田学氏

 

16:00~ 指導・講評

文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室長 鈴木慰人氏

 

16:20~ お礼

吹田市教育委員会 教育長 西川俊孝氏

 

16:30  閉会

 

報告会のアーカイブ配信視聴申込

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