国立高等専門学校機構は深刻化するIT人材不足などの課題を解決するため、人材サービスのビズリーチと、新たな社会をけん引する人材の育成を目的とした連携協定を2月9日(水)に締結した。
■副業先生の採用を促進するために
今回の協定は、企業で働くと同時に国立高専門学校の実務家教員として実践的な授業を担当する「副業先生」の採用を促進するため、ビズリーチが高専機構に対し、人材公募サービスの無償提供などを実施する。
■即戦力となるプロ人材を育成
今回の協定を通じて、学生の学びの質の向上を図り、将来「即戦力」となるプロ人材の育成を目指す。なお、高専機構が人材サービスを提供する企業と連携協定を締結するのは初めてのケースとなる。
■みらい投資プロジェクトの第1弾
また、同協定はビズリーチ初のSDGsプログラムである「みらい投資プロジェクト」の第1弾となる取組となり、協定を通じて未来のプロ人材の育成や、未来のプロ人材が活躍する場の創造が目指される。
<協定概要>
締結日:2022年2月9日(水)
目的:新たな社会をけん引する人材の育成と地域活性化への貢献
本協定の内容:両者は以下①~③の実施を基本とし、高専機構の教育・研究の場に
必要な最先端の技術や知識を持つ民間人材の採用を促進する。
①ビズリーチ上での公募の無償提供(年3回程度)
②採用活動をより効果的に行うための、情報提供および企画提案
③業務用ツールの一部無償提供
<高知工業高等専門学校での先行実施例>
高知工業高等専門学校では、公募の結果、首都圏等在住のITプロ人材が副業先生として4人が着任し、2020年11 月より授業が開始された。サイバー攻撃が高度化・巧妙化するセキュリティ領域は、特に具体的な事例や最新情報からの学びが求められる一方、変化のスピードが速いデジタル社会においては、次々と最新技術や事例が更新され、既存の教員だけではタイムリーで実践的な教育の提供が難しいのが実情だった。
しかし、民間企業で活躍する IT プロ人材を副業先生として採用したことで、タイムリーで実践的な教育の提供を実現。副業先生の授業を受けている「情報セキュリティコース」の学生からは、「より実践的なテクニックを教えていただけた」「将来の仕事を意識して学ぶことができた」等の声が上がり、高知高専では学生の学びの質の向上が実現された。
関連記事:ビジネスの現場で活躍中の4人の「副業先生」が11月から高知工業高等専門学校で授業を開始
■一関工業高等専門学校でも副業先生の公募が決定
2022年3月末には、岩手県の一関工業高等専門学校で第2回となる「副業先生」の公募が実施される。今後、さらに副業先生の導入を進め、3年後には全教員の1~2割を実務家教員とすることを目標に、高専機構とビズリーチが協力して「副業先生導入モデル」の検証と構築を行い、他の国立高専へ展開する。
<国立高等専門学校機構 谷口功理事長 コメント>
今年で高専制度創設 60 周年を迎えます。この60年間、社会ニーズの変化に応えながら、多くの卒業生を即戦力、かつ未来創造型人材として産業界に送り出してきました。高知工業高等専門学校では、すでに副業先生による授業が実施されており、学生からは「実践的な技術、最新の技術を学ぶことができた」、教員からは「興味深かった、刺激になった」との声が届いています。この内容を検証したうえで、教育方法の改善を含めて、高専教育の新しいステージを目指したいと考えています。高専機構のもと、全ての高専は社会を適正かつ健康的に発展させ未来を創造する「社会のお医者さん:Social Doctor」として、世の中の課題を広く解決できる人材の育成を進めてまいります。今回の連携協定を契機に、様々な教育改革、地域貢献等を通じて社会課題の解決に、これからもより一層、努めてまいります。
<ビズリーチ 代表取締役社長 多田洋祐氏 コメント>
2020年、高知工業高等専門学校で初めてセキュリティ領域における副業先生の公募を実施しました。副業先生として授業を行うプロ人材が活躍し、実績を出したことが、今回の連携協定につながったと思います。日本では学生がキャリアを考えるうえでのロールモデルが少ないといわれています。学生の皆様にとって、民間のプロ人材の教員による授業がキャリアを考えるきっかけとなれば幸いです。
国立高等専門学校機構