東京女学館中学校・高等学校は平和学習の授業の一環として、アンネ・フランクと同年代にあたる中学3年生を中心とする生徒が映画「アンネ・フランクと旅する日記」を鑑賞するオンラインの特別試写会が2月12日(土)に行われた。
■34人の生徒が特別試写会に参加
特別試写会に参加したのは、同校の「アンネのバラ委員会」の中学3年生から高校2年までの14人と、「平和学習」を学年テーマとしている中学3年生20人の計34人。ゲストに NPO 法人ホロコースト教育資料センターの石岡史子理事長を迎え、参加者を 5 グループに分けたワークショップも行われ、アンネが未来に紡いだメッセージについて考えた。
■キティーを主人公にすることで現代に問題を投げかける
本作ではアンネの空想の友達であるキティーが主人公として描かれているが「なぜ主人公をキティーにしたのか?」という問いに対し、「キティーがアンネの代わりに、現代の私たちに伝えることで、今世界で起こっている問題にも目を向けるきっかけを与えてくれている」とキティーを主人公とすることで現代に生きる私たちへの問いかけを可能としている。
■アンネが受けた差別は現代にもつながる問題
アンネはユダヤ人だったことからナチスによる迫害を受けたが、現代でも少数派の人々が差別の対象となる問題がある。生徒からは「過去の出来事という枠組みで考えるのではなく、現代へ繋げて考え、そして実践していくことで世界を変えていくことができるのでは」という意見が挙がった。
<生徒たちの感想>
「私たちと年が離れていないのに、こんな文章が書けるなんて、すごい文才だなと思いました。たとえ日記でも自分の心情をこんなに赤裸々に話せるのはすごいです」
「あのような状況下でも想像力をもって希望を持ち続けられたのはアンネだからこそ出来たことなのだと思います」
「元々アンネに持っていたイメージが勉強もできて完璧な女の子のイメージでしたが、意外と恋の話だったり友達の愚痴だったり今の私たちと似ている部分があって、どこにでもいる女の子で共感できたし、親近感を覚えました。だからこそ強制収容所で亡くなったということを知ったときは、自分たちと似ていると思ったからこそ、すごく苦しい、悲しいと思いました」
「戦争は年齢とか性別とか関係なく、残酷に誰でも巻き込んでしまうものだということを、アンネは書き残しておきたかったのではと思います」
■アリ・フォルマン監督からのメッセージ
最後に本作の監督である、アリ・フォルマン氏より日本へ向けて、特別なメッセージが紹介された。「アンネ・フランクを偲ぶということは、この映画の奥深いところ、つまり過去を思い出して学び、現代の戦地の子供たちを想うこと。2020 年だけでも、1700 万人の子供たちが戦地から逃げている。彼らは自分で選んだわけじゃない、逃げざるを得なかったんだ。移民の現状を知ることは非常に大切なことだと思う」
映画『アンネ・フランクと旅する日記』×東京女学館 中学校・高等学校<特別試写会>
開催日時:2月12日(土)
15:30~ 試写会
17:20~18:00 イべント(ワークショップ)
イベント形態:オンライン
ゲスト:石岡史子氏(NPO 法人ホロコースト教育資料センター理事長)
対象学生:東京女学館中学校・高等学校 中学 3年生有志ならびに「アンネのバラ委員会」
<東京女学館 中学校・高等学校とアンネのバラ>
東京女学館中学校・高等学校では、1999 年より「アンネのバラ」を校内で育てている。「アンネのバラ」とは、1955 年にベルギーで生まれた品種で、日本へはアンネの父オットーから贈られたものが、日本全国の学校や地域で育てられている。同校では中1から高3までの有志が「アンネのバラ委員会」に所属し、水やり・草むしりなどバラの世話をするとともに、平和や戦争、ホロコーストについて学んでいる。
<映画『アンネ・フランクと旅する日記』概要>
【STORY】
現代のオランダ・アムステルダム。激しい嵐の夜、博物館に保管されているオリジナル版「アンネの日記」に異変が起きた。突然、文字がクルクルと動き始めて、キティーが姿を現したのだ!時空を飛び越えたことに気づかないキティーだったが、日記を開くと過去へさかのぼってアンネと再会を果たし、日記から手を離すとそこには現代の風景が広がっていた。目の前から消えてしまったアンネを探して、キティーは街を疾走する……。
原案:「アンネの日記」(ユネスコ「世界記憶遺産」2009 年登録)
協力:アンネ・フランク基金
文部科学省<特別選定>作品(青年・成人・家庭向き)/<選定>作品(少年向き)
監督・脚本:アリ・フォルマン(『戦場でワルツを』)
声の出演:ルビー・ストークス/エミリー・キャリー
後援:オランダ王国大使館/イスラエル大使館
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2022年3月11日(金)より TOHO シネマズ シャンテほか全国公開