全国の小学生が「今まで読んだ中で1番好きな本」を投票する、第3回「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」の結果が2月11日(金)に発表された。今回の応募総数168,405票。その中から同じシリーズの本を抜いた上位10作品がベスト10として紹介された。
■全国の学校や公共図書館の協力で投票を実施
NPO法人こどもの本総選挙事務局では「子供たちが新しい本と出会うきっかけを作り、子供たちが本と出会う喜びを勝ち取ってほしい」との思いから総選挙を企画。第3回目となる今回の総選挙では全国1,648か所の学校および公共図書館の協力により投票が行われた。
■「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」が1位に
最も多くの票を集めて第1位に選ばれたのは「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」(偕成社)。幸運な人だけがたどり着ける不思議な駄菓子屋「銭天堂」が舞台の物語。女主人の紅子が勧める駄菓子がお客の運命を翻弄するドキドキ感が魅力の作品となる。受賞にあたって著者の廣嶋玲子氏は「子供が選んでくれたということで、こんなに素敵な賞はないと思いました。1人でも選んでくれたら嬉しいと思っていたところ1位をいただくことができました。これまで本を書いてきて良かったと思います」と喜びの言葉を述べた。
■第2位は「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」
また、第2位に選ばれた「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」(高橋書店)は、生き物の残念な一面に光をあてた作品。紫外線をあびると光るサソリや敵に襲われると死んだふりをするオポッサムなど不思議な生き物が122種も紹介されている。監修にあたった今泉忠明氏は「これまでモグラやコウモリやネズミなどを調べてきて良かったと思いました。その時に得た知識が『ざんねんないきもの事典』に活かされています」と語った。
<第3回小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙 ベスト10>
第1位「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」
作/廣嶋玲子、絵/jyajya
偕成社
こどもプレゼンター 村上現さん(小2)コメント
「ぼくは自作の小説を書いていますが、その言い回しは銭天堂を参考にしています。なぜかというと初めて銭天堂を読んだ時、暗くて不気味な様子が思い浮かんだので、すごいと思ったからです」
第2位「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」
監修/今泉忠明
高橋書店
こどもプレゼンター 山﨑真彩さん(小2)コメント
「私は生き物が好きなので、この本に投票しました。生き物について色々とくわしい説明が書いてあるのが面白かったです。大人でも知らないことが書いてあると思うので、読んだことがない人は読んでみてください」
第3位「あるかしら書店」
著/ヨシタケシンスケ
ポプラ社
こどもプレゼンター 渡来なつめさん(小3)コメント
「木に色んな本が実るところが面白くて読んでみたくなりました。笑ってしまう絵も多いので、もっともっと読みたいです。どんどんヨシタケさんの本を集めて、ヨシタケさんの本の家にしたいです」
第4位「りんごかもしれない」
作/ヨシタケシンスケ
ブロンズ新社
こどもプレゼンター 白石真悠さん(小3)コメント
「主人公の男の子が机の上のりんごから色々と想像して『何かの卵かもしれない』『もしかしたら罠かもしれない』と考えているのが面白いと思いました。一つのことからたくさん想像をふくらませる様子が読んでいてワクワクしました」
第5位「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 ノベライズ みらい文庫版」
原作/吾峠呼世晴、著/松田朱夏、脚本/ufotable
集英社
小学生のコメント「映画と違って小説なのではやく読めるし、なんかいもよめておもしろ
いし、みればみるほどおもしろさがあっぷするから」(小5)
第6位「5分後に意外な結末 1 赤い悪夢」
編/学研教育出版
学研プラス
小学生のコメント「短時間でも読めるから読書が苦手でも読みやすい。最後は本当に
意外な結末だから面白い」(小6)
第7位「りゆうがあります」
作・絵/ヨシタケシンスケ
PHP研究所
小学生のコメント「共感できるところや、おもしろくて笑ってしまうところがいい。
何度読んでもあきないから、ずっと読める」(小6)
第8位「四つ子ぐらし①ひみつの姉妹生活、スタート!」
作/ひのひまり、絵/佐倉おりこ
KADOKAWA
小学生のコメント「子どもだけでがんばってくらしているところ!4人だけで家事や
学校に行っていて、たまにトラブルがあるけれど、きずなを深めていくよ」(小5)
第9位「スイミー ちいさなかしこい さかなのはなし」
作/レオ・レオニ、訳/谷川俊太郎
好学社
小学生のコメント「スイミーがいろんなものをみるたびに、元気をとりもどすところが
おもしろくて好きです」(小2)
第9位「ほねほねザウルス ティラノ・ベビーのぼうけん」
原案・監修/カバヤ食品株式会社、作・絵/ぐるーぷ・アンモナイツ
岩崎書店
小学生のコメント「わるものの3人組が、勝負してまけて、きゅうにやさしくなったのが
おもしろいとおもいました」(小2)
■1票1円で「ドナルド・マクドナルド・ハウス」の活動に寄付
「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」に特別協賛している日本マクドナルドでは、病気の子供と、その家族が利用できる滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」への支援を行っている。今回の総選挙では1票1円として、投票数に応じて寄付が実施された。
■マクドナルド賞の学校部門と個人部門が決定
また、スペシャル企画としてマクドナルド賞を創設。学校部門に選ばれた、愛知県幸田町立幸田小学校、広島県府中町立府中小学校、兵庫県尼崎市立小園小学校の3校にはベスト10に選ばれた書籍が贈呈された。また、個人部門に選ばれた、米川ちまさん、島村健吾さん、大石芽衣さんにはハンバーガー1年分が贈られた。
<アンバサダー 又吉直樹さん(お笑い芸人・作家) コメント>
今回、受賞した作品は本当に幅広い作品が選ばれたと思います。168.405票の投票に中には、それぞれの子供たちが選んだ1位があったと思いますが、受賞した作品は、それだけ多くの子供たちに支持された結果だと思います。自分の好きな本を投票するという思いの強さは、他の人にも伝わるし、他の人が好きな本を知ることで、読んでみようと思うなど、人と本をつなげるきっかけになると改めて思いました。