島根県立島根中央高等学校では2021年12月、島根県立大学 国際関係学部・国際コミュニケーションコースの江口真理子教授が、同校の高校生8人に対して音声ペンを用いた学習効果を測定するリスニングテストを実施した。
■音声ペン使用時は高い正答率を確認
テストは学習前と学習後に実施。そのテストの得点率の差から、音声ペンを使って学習したユニットの正答率は、CDを使って学習したユニットの正答率を有意に上回り、音声ペンの学習効果が確認された。
■ドットコードを読み取るとペン内から瞬時に再生
音声ペンとは、印刷されたドットコード(極小の点で構成された二次元コード)をペン先でタッチし読み取ることで、そのコードに対応する音声データをペン内から瞬時に再生することができる教育用ツール。今回の研究ではグリッドマークの「G-Speak」を使用した。
■高校生向けに活用できるよう工夫
幼児や低学年向けの音声ペン対応教材は市販されているが、高校生に適した教材は少ないのが現状。そこで英語のリスニング教材に付属されたCDの音源を音声ペン用のシールに紐付け、シールをタッチすると、短文を再生できるように加工した。教材にはリピーティング、シャドーイングなどから構成された、大学生向けのリスニング教材である南雲堂の「Active Communication with Phrases」を採用した。
■聞きたいところだけを聞けるのでモチベーションが上がる
進学ゼミ所属の和泉哲さん(2年)は「CDは聞き逃すとトラックを全て聞き直さないといけないが、音声ペンは聞きたいところだけ聞けたのでモチベーションが上がった」と音声ペンを使ったリスニング学習の手応えを述べた。
<島根県立大学 江口真理子教授 コメント>
操作が簡単な音声ペンは学習意欲の向上やリスニング学習に効果が期待できる。一方、日本語にない英語特有の発音の入るフレーズは正答率が低かった。調査を継続して音声ペンを使った効果的な自己学習のプログラムを開発したい。
<島根中央高校 進路指導部長 松田直子教諭 コメント>
4技能のバランスよい習得がますます求められる中、リスニング力向上への生徒の意欲は高まっているが、苦手とする生徒が最も多い技能でもある。力をつけにくい背景には、読解などと違い、演習量の不足がある。授業中に習得した知識をもとに、日々の家庭学習の中で、十分な演習を実践できる教材の提供が叶えば、生徒のリスニング力向上に必ずつながると考えている。