東進ハイスクール・東進衛星予備校を運営するナガセは、1月15日・16日に実施された大学入学共通テストの結果を分析。英語のリスニングでは近年のトレンドとなっているワードが登場するなど背景知識を理解しているかがポイントとなった。
■前年正答率が低い問題は読み上げ速度が低下し正答率が上昇
東進では毎年、大学入学共通テスト実施後に、合計得点だけでなく設問ごとにどの選択肢を選んだかを集計する「答案再現」を実施し、設問別の正答率を算出している。昨年の正答率が著しく低かった第6問Bや、昨年の読み上げ速度が比較的速く正答率が37.6%だった第4問Bなどで、読み上げ速度が昨年よりも遅くなり正答率が上昇している。
■第4問Aの1問目は問題形式が変わったことで正答率が大きく上昇
例外は第4問Aの1問目で、昨年は読み上げ文を聞いてグラフを完成させる問題だったが、今年は読み上げ文を聞いて、順序通りにイラストを並べかえる問題に変わった。読み上げ速度は速くなったものの、問題形式が変更となり易しくなったことで正答率が95.4%に大きく上昇した。
■第5問は昨年よりも読み上げ速度が13.9%上昇
第5問では大学の講義を聞いてワークシートを埋めたり、講義の内容と一致する選択肢を選んだりする問題が、昨年に引き続き出題。今年は読み上げ速度がさらに13.9%上昇。共通テスト全体を通じて情報処理力が問われていることが明らかとなった。
■高校生にとってなじみのない用語も登場
第5問は読み上げられた文章や設問文から読み取る必要のある情報量が多いことや、「ギグワーク」など高校生にとってなじみのない用語も多く登場するなど、正答率も下がり難問となった。
■トレンドワードは背景知識を理解しているかで取り組み方が変わる
第5問と第6問Bに共通して言えるのは、「ギグワーク」や「エコツーリズム」といった近年のトレンドとなっているワードが登場している点。背景知識を理解しているかどうかで、問題への取り組み方が変わってくる。
■アメリカ英語以外にイギリス人英語やアジア人英語も登場
イギリス人英語や非ネイティブによる英語は2022年も登場。今年はイギリス人英語×3問、アジア人英語×2問と増加している。アジア人英語のうち1問はかなり訛りのきつくスピードの遅い日本人と思われる英語だった。リーディングと同様、文化的多様性を意識してアジア人英語などを出していると思われる。