クラーク記念国際高等学校は開校30周年記念事業「宇宙教育プロジェクト」の一環として、東京大学大学院工学系研究科やSpace BDと連携し、衛星開発に関するワークショップを2021年11月28日(日)、12月4日(土)、5日(日)に実施した。
■衛星開発の追体験として模擬衛星などを制作
クラーク記念国際高等学校の生徒は「CanSat」と呼ばれる模擬衛星の制作や、超小型人工衛星の開発のトレーニングキットである「HEPTA-Sat」の組み立てを体験。これらのワークショップは、クラーク国際の生徒が衛星開発の追体験を行うプログラムとなっている。
■模擬人工衛星「CanSat」の着陸技術を競う
11月28日には、空き缶サイズの模擬人工衛星「CanSat」を打ち上げるワークショップを実施。生徒は6グループに分かれ、制限時間内にCanSatを作成。高所まで持ち上げ、地上のターゲットに向けて落下させた。その中で、指定された落下時間との時間差の少なさや、缶を直立した状態で着陸させる技術などを競い合った。
■模擬人工衛星の制作を通じて意思決定能力を育成
このワークショップでは、各グループで仮説を立て、実際に手を動かしながらCanSatを作成。その結果と原因について考えるというプロセスを通じて、グループ間での協議、アイデア出しと意思決定能力を育成することをねらいとしている。
■小型人工衛星「HEPTA-Sat」を組み立て各機能の役割を学ぶ
12月4日・5日には「HEPTA-Sat」を組み立てるワークショップを実施。「HEPTA-Sat」は、日本大学の山崎政彦准教授によって開発された小型人工衛星のトレーニングキット。生徒は「HEPTA-Sat」を一から組み立てた後、プログラミングおよび動作試験を実施するワークショップを通じて、人工衛星の各機能の役割を学んだ。
■宇宙を近くに感じる体験
「HEPTA-Sat」から撮影した写真をPCで確認できた瞬間に歓声が上がるなど、生徒たちは積極的にワークショップに取り組んだ。生徒からは「HEPTA-satの体験が授業の中であったら、もっと宇宙が近くに感じるんじゃないかと思った」という声もあがった。
■宇宙教育を通じて未来のリーダー人材育成を目指す
2021年7月に発足した「宇宙教育プロジェクト」は高校生を対象とした人工衛星開発・打上げの追体験および宇宙をテーマにした探究学習プログラムの開発により未来のリーダー人材育成を目指すプロジェクト。クラーク国際、東京大学大学院工学系研究科、Space BDによる共同プロジェクトで、現在は「宇宙探究部」という部活動として活動。全国のクラーク記念国際高等学校に在籍する生徒より公募され、現在は総勢70名が所属している。
■衛星打ち上げを目指して展開
今後は、衛星環境試験、管制局の組み立て作業への一部参加、また無線局落成検査や安全審査会の立ち合いなどを経て、衛星打上げを目指す。衛星開発関連以外では、衛星打上げおよび衛星放出の際の取材やホームページの制作についても生徒の活動対象となる。
<東京大学大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 中須賀真一教授 コメント>
CanSatでは、小さな衛星を開発する、そしてチームで問題解決をしていくといった衛星開発の基礎を学ぶことができる。衛星開発は、単なるものづくりというだけでなく、プロジェクトマネジメント、システムエンジニアリング、いろいろな国際交渉などが必要なことに加え、問題解決の連続となる。CanSatワークショップでは学びの宝庫である衛星開発や宇宙開発の要素を凝縮して学んでもらうことを目的としている。