ICカードやタイムカードなどの記録により、教職員の勤務実態を把握している割合が全国的に進んでいることが、文部科学省が教育委員会を対象に実施した「令和3年度 教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」の結果から明らかになった。
■すべての教育委員会を対象に学校の働き方改革に関する調査を実施
文部科学省は、すべての教育委員会1793件(47都道府県教育委員会、20指定都市教育委員会、1726市区町村教育委員会・事務組合等)を対象に実施した「令和3年度 教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」の結果を12月24日(金)に公表した。
■前年度と比べて勤務実態の適正な把握が全国的に進む
ICカードやタイムカードなどを使って、教職員の勤務実態を把握している学校の割合は、 都道府県100%(前年度91.5%)、政令市100%(前年度85.0%)、市区町村85.9%(前年度71.3%)と、昨年度に比べて大きく伸びており、適正な勤務実態の把握が全国的に進んでいることが伺える。
■埼玉県、京都府、山口県、香川県は100%実施
ICカードやタイムカードを用いた教職員の勤務実態の把握について、各都道府県別の実施自治体割合を見てみると、昨年度に比べてほとんどの都道府県において導入割合が増加。4府県(埼玉県、京都府、山口県、香川県)で100%実施となった。勤務実態の客観的把握は法律で実施が義務付けられているため、全都道府県において、いち早く100%となることが求められる。
■これまで学校や教員が担ってきた業務を3つに分類
中央教育審議会答申において、これまで学校や教員が担ってきた業務について、「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」の3つに分類。各業務に係る役割分担・適正化のために必要な取組の実施状況をフォローアップした。
■給食費など学校徴収金の徴収・管理を教職員が関与しない学校は3割~4割
「基本的には学校以外が担うべき業務」に含まれる、登下校時の対応を学校以外が主体となって行っているところは、政令市では8割に達しているものの、都道府県では23.4%、市区町村では61.1%に留まっている。また、給食費など学校徴収金の徴収・管理を教職員が関与しない方法で行っているのは3割から4割という現状にある。
■都道府県や政令市では部活動指導員など外部人材を100%利用
「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」である部活動について、部活動指導員をはじめとした外部の人材の協力を求めたところは、都道府県と政令市で100%に達成。また、校内清掃について地域人材や民間委託を利用している学校は、政令市では45%と急激に伸びている。
■ほぼすべての学校でスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを利用
「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」で、支援が必要な児童生徒等・家庭への対応については、ほぼすべての学校がスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを利用するなど高い達成率を示している。授業準備についても、支援スタッフの参画を図っている学校は政令市で95%なのをはじめ、市区町村も64.1%で急速に伸びている。