吉祥女子中学・高等学校と洗足学園中学高等学校は、中高生向けの1Day自動運転体験プログラム「INSTANT TECH」を体験。ICHINOYA LLC(合同会社一矢)は、その導入事例をWebで公開した。
■プログラミングによる自動運転技術を体験
ICHINOYA LLC(合同会社一矢)は、マサチューセッツ工科大学(MIT)協賛のサマースクール「GLOBAL TECH」で扱う、プログラミングによる自動運転技術の構築を、より多くの生徒に体験してもらうため短期プログラムとして立ち上げた。
■前知識不要でプログラミングを超えた体験ができる「INSTANT TECH」
「プログラミング」「自動運転」と聞くと「生徒に知識がないと難しいのでは?」「うちの学校には、担当できる教員がいない」という声も上がり、導入にハードルを感じる学校も多いが「INSTANT TECH」は前知識不要のため、プログラミングを超えた体験ができる。
■INSTANT TECHを導入した2校の事例を掲載
Webサイトでは、実際にINSTANT TECHを導入した東京都内の2校(吉祥女子中学・高等学校、洗足学園中学高等学校)の教員の話が掲載されている。
<導入事例>
(写真左から)
明石里恵教諭
吉祥女子中学・高等学校 進路・学習部長。英語科担当。明石教諭は他校の教員からINSTANT TECHの紹介を受け、導入を決定。
蕪木慎也教諭
洗足学園中学高等学校 教頭。数学科担当。同校はINSTANT TECHを日本で初めて導入し、蕪木教諭は担当教員として導入を検討した。
── 女子校の「理系分野」には、どんな課題がありますか?
蕪木先生:高1の段階で文理選択の希望を聞くと大体半々。でも、講演会や面談をしていく中で、理系が減ってしまうんです。結局、高2では1学年250人のうち、文系と理系の間に50人くらいの差が生まれます。これを、2、3年後には逆転させたいと思いました。
明石先生:吉祥女子では、高2から文系、理系、芸術系に分かれます。文系と理系はほぼ均等です。ここ数年の傾向を見ていると、中学入学の段階で医師、薬剤師、獣医師などになりたいと夢や目標を持って入学してくる生徒が増えていますね。進路選択では、自己決定のプロセスを大切にしながら、苦手な科目があるからという理由で系の選択を狭めてしまわないように教員はサポートしています。理科の授業で「実験が楽しかった!」というような「体験」も理系選択に繋がっています。一方、STEAMの分野では教えられる教員も限られているので、そうした機会を作ることが難しくて…
蕪木先生:当校では数年前から理系に力を入れており、STEAM教育の海外事情を調査してきました。世界と比べると、日本ではまだまだ馴染みがないですし、すごく遅れています。色々調べていると、STEAMの中でも特に「E:エンジニアリング」は中高の教育に取り入れにくいことがわかりました。そこを教養講座で扱おうと、当初は大学の先生に教鞭をとってもらっていました。予備知識がないと難しい内容ながら、生徒はついて行こうと努力している様子でした。
もっと気軽に、面白くできるものがあると良いなと思っていたところ、GLOBAL TECHを知りました。「これよりも、簡単に取り組めるプログラムがあれば」と相談したところ、短期プログラムであるINSTANT TECHを作ってくれたんです。課外活動になるので、時間も費用も抑えられて、かつ、教員の時間が奪われないという3点を叶えてくれる。そして何より、単にプログラミングを「学ぶ」のではなく「体験」できる。スピード感を持って変化するIT分野の最前線に触れられるという点が魅力的でした。
── 実際にINSTANT TECHを導入してみて、どんな変化が生まれましたか?
明石先生:当校は夏の教養講座で中1~高3までを対象に導入しました。プログラミングの知識をインプットして、実際にものを動かして仕組みを理解できる体験って、学校だけでは作れないですよね。
募集に対し、倍率約3倍で抽選になるほどの反響でした。「PCに初めて触る」という中学生から、独学でプログラミングを学んでいた高校生まで、様々な生徒が集まりましたが知識の有無に関わらず「とにかく楽しかった」という声がとても多く、保護者から「次の募集はいつですか?」という問い合わせもあったほどです。
蕪木先生:うちも思った以上の反響でしたね。募集枠20人に対し、瞬く間に定員に達してしまいました。その大多数が、知識の有無ではなく「興味」で突き動かされたようです。