大分県玖珠町立森中央小学校(御手洗小百合校長)の6年生は、郷土の偉人で日本のアンデルセンと呼ばれた久留島武彦について学習した一環として、12月2日(木)にアンデルセンの故郷であるデンマークのノースチャーネ小中学校とオンラインでつなぎ、Google Meetを使った学校交流が行われた。
■子ども学芸員体験事業の一環で久留島武彦について調べる
玖珠町では地域の自然や人材とICTを融合した郷土教育を推進。初年度である今年は郷土の先人である久留島武彦に焦点をあて、自尊感情を高めることを目的に学習を進めた。森中央小学校の6年生34人は、学芸員の体験を通じて子どもの興味・関心を高める「子ども学芸員体験事業」の中で県立先哲資料館の職員による出前授業を実施してきた。
■童話作家を目指したきっかけや日本のアンデルセンと呼ばれた理由を調べる
子供たちは久留島武彦について、①「久留島武彦が童話作家をめざしたきっかけ」、②「久留島武彦が日本のアンデルセンと呼ばれた理由」、③三島公園にある桃太郎像について、④三島公園にある童話碑についてなど、4つの課題を設けて学習を進め、10月20日にプレゼンを行った。
■アンデルセンがきっかけでデンマークの交流に発展
児童が半年間かけて、日本のアンデルセンと呼ばれた久留島武彦のことを調べた結果を、アンデルセンの生まれ故郷であるデンマークの子供にも知ってもらおうと、今回の交流は御手洗校長が企画。その発案を教育委員会が了解し、関係各機関にアプローチを実施。2021年10月からオンラインミーティングなどを重ね、今回の交流の内容を決定した。
■地元のことや自校の取組などを紹介
デンマークのノースチャーネ小中学校との交流はデンマークの第二言語である英語を使って行われた。はじめに「Nice to meet you」と互いに元気なあいさつを交わした子供たちは、自分たちの故郷や学校の紹介を行った。森中央小学校からは、授業や給食の様子、図書館まつりや運動会などの学校行事が紹介された。
■久留島武彦について調べた成果をデンマークの児童に伝える
そして森中央小の児童から「子ども学芸員体験事業」の一環として調べた久留島武彦について発表された。1874年に生まれた久留島武彦は、大分中学で英語教師を務めていた宣教師のS.H.ウェンライトに出会い、キリスト教の洗礼を受ける。その後、日本にアンデルセンの童話を広めるため尽力し、その活動が認められて1926年にデンマーク国王から表彰される。また、久留島氏が日本で初めてしたことして、「1913年に初めてピースサインで写真に写った」ことなどがクイズで紹介された。
■屋内プールには驚きの声も
続いてノースチャーネ小中学校の児童がカメラを持って校舎を案内。校舎の外は雪が積もっており、デンマークでは冬景色が広がる。そうした中、校内にある屋内プールが紹介されると日本の児童からは驚きの声があがった。
■英語を使ってデンマークの子供と交流
その後、英語を使ったQ&Aコーナーでは、日本の児童から「1年で最も大きなイベントは何か」という質問に、デンマークの児童からは「イースターかクリスマスだと思う。4月に行われるイースターは1週間にわたって祝うことになる」という答えが返ってきて、それに対して「日本でもクリスマスは大きなイベントとなる」と返していた。
■予想以上に通じた英語に喜びも
交流終了後に、森中央小の児童からは「デンマークの子と話すのはドキドキしたけれども思ったより自分の英語が通じて楽しかった」、「これから外国語をしっかり学んで、次はもっと上手にコミュニケーションが取れるようになりたい」などの感想が聞かれた。6年生担任の佐藤信昭教諭は「機器的な問題などクリアしていかなければならない問題は多い。しかし、今回チャレンジして本当に良かったと思う」と語る。
■今後も継続して交流は行われる予定
今後、森中央小学校ではノースチャーネ小中学校とクリスマスカードの交換などを予定している。また、次回はノースチャーネ小中学校がアンデルセンの紹介を3学期に行うとしている。交流を望む児童や保護者の声もあることから、来年度以降も継続して実施していきたいと御手洗校長は考えている。