学校の授業などでプログラミングを経験することで、「将来プログラミングに関する仕事に就くか?」という質問でポジティブな回答した子供は小学生で2倍、高校生で3倍となることが、NPO法人みんなのコードが実施した調査により明らかになった。
■全国の小・中・高等学校の教員、児童生徒、保護者を対象に調査を実施
みんなのコードは、 Google.org の支援のもと、全国の小学校教員1,037人、中学校教員1,362人、小学生・中学生・高校生およびその保護者3,000組を対象に、学校教育におけるプログラミング教育の実態について調査を実施。その結果を報告書にまとめ公開した。なお、中学校技術分野の教員向けアンケート調査は、全日本中学校技術・家庭科研究会との共同調査として実施した。
■プログラミングの経験がキャリア教育にも影響
児童生徒に対する意識調査で「将来プログラミングに関する仕事に就くか?」という質問では、授業などでプログラミングの経験をすることで、ポジティブな回答が小学生は2倍、高校生では3倍となっている。IT人材の不足が叫ばれる中、プログラミング教育の経験可否が、その後のキャリアにも影響する可能性があることが分かった。
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■小学生の73.8%がプログラミングは楽しかったと回答
小学生の児童・保護者を対象とした意識調査では、プログラミング教育への児童の反応として、 73.8%の児童が「プログラミングは楽しかった」と回答。「あまりそう思わない」「全くそう思わない」との回答(7.7%)を大きく上回る結果となった。これは小学校のプログラミング教育を必修化した際、一部から聞こえた「学校の教員がプログラミング教えることで苦手意識などが増えるのでは?」との懸念の声を払拭する結果となった。
■研修時間の長さがプログラミングの授業を受けた児童の関心度合いに影響
小学校の教員への「プログラミング教育後の児童の反応」について、教員に対して7時間以上の研修を実施した場合、授業を受けた「半数以上の児童がプログラミングに関心を持っている」と回答したのが68.5%だった。一方、1時間未満の短時間の研修や研修を受けていない場合、同回答が5割にも満たないなど、児童の関心の度合いに大きな差があることが分かった。
■校務や部活動で授業の準備時間が確保できない状態に
授業の準備時間を「十分に確保できている」と回答した小学校教員は17.7%にとどまり、「十分に確保できない理由」を大半の教員が「校務」と回答。また、中学校教員では「十分に確保できている」と回答したのは11.5%にとどまり、「十分に確保できない理由」として「部活動」があげられ、約半数の教員が部活動の時間が週10時間を超えると回答している。
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■GIGAスクール端末の準備整備が教員の負担に
また、教員のインタビュー調査では、GIGAスクール端末の準備整備が教員の負担になっているという声も多くあげられた。これらの状況を改善することも、教員がプログラミング教育に十分な時間を使えることにつながると思われる。
<調査概要>
【小学校教員の意識調査】
・調査対象および調査方法
全国の小学校教員1037人へのアンケート調査
全国の小学校教員12人へのインタビュー調査
・調査方法:インターネットリサーチ、および対面インタビュー
・期間:2021年7月〜8月
【中学校技術分野教員の意識調査(全日本中学校技術・家庭科研究会との共同調査)】
・調査対象および調査方法
全国の中学校教員(技術分野)1362人へのアンケート調査
全国の中学校教員(技術分野)6人へのインタビュー調査
・調査方法:全日本中学校技術・家庭科研究会の会員へのアンケート、
および対面インタビュー
・期間:2021年7月〜8月
【子供・保護者の意識調査】
・調査対象および調査方法:
小学生、中学生、高校生およびその保護者3000組へのアンケート調査
小学生、中学生、高校生の保護者16人へのグループインタビュー
・期間:2021年6月〜8月
【諸外国でのプログラミング教育の取り組み状況調査】
・調査方法:文献調査
・対象国(イングランド、オーストラリア、韓国、ケニア)
・期間:2021年7月~9月
<報告書は以下よりダウンロード可能>