高知工業高等専門学校(井瀬潔校長)は、首都圏在住のITプロの人材を「副業先生」として転職サイト「ビズリーチ」を通じて公募。43人の民間企業の応募の中から4人の採用が決定。11月からの授業開始にあたり、10月25日(月)に就任式が行われた。
■情報セキュリティコース5年生向けの科目を教える
国立高専は全国に51校があり、中学卒業後に5年間かけて専門教育を学んでいく。高知工業高等専門学校は国立高専で唯一サイバーセキュリティ専門のコースを設置。国立高等専門学校機構が進める「サイバーセキュリティ人材育成事業(K-SEC)」の中核拠点校としても活動している。今回、就任する4人の副業先生は、高知高専の情報セキュリティコース5年生向けの科目を教えることになる。
■情報セキュリティマネジメントや情報工学実践Ⅱなどを担当
具体的にはネットワークの管理・運用について教え、現場経験の問題や対応策について講義する「情報セキュリティマネジメント」、偽サイトやフィッシング詐欺などについて演習する「情報工学実践Ⅱ」、ネットワークに接続されたホストを攻撃する手法や、それらの脅威から守るための技術について学ぶ「ネットワークセキュリティⅡ」などを担当。主にオンラインで授業を行っていく。
■デジタル人材の不足に対応するため実施
「副業先生」は国立高等専門学校機構と転職サイトのビズリーチが、デジタル人材の不足が叫ばれる中、トップレベルのサイバーセキュリティ人材を育成することと、体系的にセキュリティ知識を身に付けた高専生を多く輩出することを目的に実施する。
■民間企業の実践的な知識と経験を取り入れる
国立高等専門学校機構の坪田知広理事は「デジタル人材の育成には、高専の教育内容を最新のものにアップデートすることと、ビジネス現場の知識と経験をクロスさせることが重要。最先端の技術分野について学ぶため、民間企業の実践的な知識と経験を取り入れる必要がある。先端教育のできる教員の育成が必用ということから副業先生の公募に至った」と語る。
■64%が「教育現場での副業・兼業に興味がある」と回答
ビズリーチ会員に行ったアンケートによると、約半数が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、「副業や兼業への興味・関心が高くなった」と回答。66%が「副業・兼業は報酬よりも仕事内容を重視する」と回答している。また、64%の会員が「教育現場での副業・兼業に興味がある」と答えている。
■後進育成に向けて尽力
就任式では4人の副業先生を代表して、「情報工学実験Ⅱ」の授業を受け持つ林憲明氏に委任状が送られた。林氏も高専卒業生であり、高専OBの一人。後進育成に強い関心を持っていたことから副業先生に応募した。
<副業先生 林憲明氏 コメント>
高専生には知識とスキルだけでなく、現場に出た者にしか分からない心得を伝えていきたい。そして現役エンジニアの立場から、ビジネス環境でも使える視点を伝えて、情報管理の要となる人材育成を推進したい。私自身、高知高専の学生と接することで、知識をブラッシュアップしていきたい。