東京工科大学のコンピュータサイエンス学部は、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)と、スマートフォンを使用した分散処理の開発の実用化に向けた共同研究の契約を締結した。2022年4月の商用化が目指される。
■計算負荷の高い処理をスマホで実行する手法を開発
本研究はネットワークに接続した多数の端末やデバイスを連携。スーパーコンピュータ並みの計算能力を実現する「グリッドコンピューティング」と呼ばれる分散処理の技術を採用して、計算負荷の高い処理をスマートフォンに分散し、実行する手法を開発する。
■大規模な計算処理を並列に分散する手法を研究
コンピュータサイエンス学部・石畑宏明教授の研究室における並列分散処理に関する研究知見をベースに、ネットワークに接続した数百から数千台以上のスマートフォンを使用した大規模な計算処理を並列に分散する手法の研究を進める。
■株価予測の性能検証処理を対象に
対象となるのは、過去20年間のデータをもとにパラメータを変化させると予測がどのように変化するかを調べる株価予測の性能検証処理。これらは少量のデータ入出力と大量の計算が必要となるためスマートフォンでの処理に適している。
■スマートフォンを並列実行して開発を進める
このプログラムは、同学部・瀬之口潤輔研究室が開発を進めており、東京大学情報基盤センターのスーパーコンピュータを使用。本研究では、これを多数のスマートフォンで並列実行できる環境で同様の開発と評価を行っていく。
■東京工科大学の学生がソフトウェア開発に協力
これらの研究シーズと、CTCによる社内や顧客のスマートフォンの未使用時間活用といったビジネス提案を組み合わせることで、実用化を推進する。また、本共同研究にあたっては、同学部の3年生6名が同社内の環境でのソフトウェア開発やビジネス提案などに関わっており、東京工科大学の推進する産学連携による実学教育の試みとしても期待される。
■研究を通して大規模システムの構築や運用経験を蓄積
今後、本共同研究を通して、大規模システムの構築や運用経験を蓄積するとともに、並列分散処理でのセキュリティの強化やソフトウェア品質向上などの研究に活用する。またCTCでは同社が提供するIaaS型クラウドサービス「TechnoCUVIC」への活用などを検討する。