遠隔授業の課題として最も多いのが「家庭で集中できない」、次いで「友人と直接会えないことで孤独を感じる」ということが、レノボ・ジャパンが日本を含むアジア地域の16~25歳の生徒・学生、および11~15歳の子供を持つ保護者を対象に実施した比較調査から明らかになった。
■1人1台端末を使いこなす上での課題などを調査
本調査はコロナ蔓延後に行われた遠隔授業および学習体験についてコロナ前と比較する形で実施。日本では2020年度、GIGAスクール構想により、小中学生に学習用のPCまたはタブレットの情報端末が配備された。調査では子供たちが、これらの端末を使いこなす上での課題や在宅学習におけるメリットやデメリットなどを聞いた。
■遠隔授業のメリットは「自宅からアクセスできる」こと
遠隔授業のメリットとして、半数以上が「自宅からアクセスできる」(62%)、「通学時間を削減できる」(53%)と回答。新型コロナウイルス感染拡大による緊急的な措置を超えるメリットがあることが分かった。この数値をアジア全体と比較してみても、日本と有意な差は見られなかった。
■日本では遠隔授業で友人と直接会えないことが大きな課題に
一方、遠隔授業の課題としては「家庭で集中できない」が日本で40%が回答したのをはじめ、その他のアジア地域でも高い数値となっている。また、日本では「友人と直接会えないことで孤独を感じる」が38%で2位となっておりコミュニケーションが図れないことが大きな課題といえそうだ。家庭でも集中しやすい仕組み、孤独感を感じにくい仕組みが求められている。
■日本の遠隔授業の実施率は伸びたが、アジアの中では低い
コロナの感染拡大以前、日本では遠隔授業の実施率は13%と、調査を行ったアジア諸国の中でも、かなり低い水準にあった。2020年の緊急事態宣言以降、遠隔授業が一気に広まり、その導入割合は51%まで進捗。しかし、インド、香港、インドネシア、フィリピン、マレーシアは70%を超えており、それらの国と比べると低い数字となっている。
■テクニカルトラブルが発生しても多くが自分で解決する
遠隔授業を行うにあたり、テクニカルトラブルが発生した場合、日本は「自分で解決する」が32%と最も高くなっている。次いで「クラスメイトや友人など」が30%、「両親、その他の大人の家族」が27%、「教師や学校関係者」が18%となっている。生まれた時からインターネットやデジタルデバイスが身近にあったデジタルネイティブ世代であることから、多くはトラブルを大人の手を借りずに解決できていることが推察される。また、アジア諸国でも日本とほぼ同様の数値となっている。
<レノボの考察>
児童生徒用の学習端末はGIGAスクール構想により、日本でも1人1台の体制が整備され、教育のICT化はこの1年で大きく前進している。またデジタルネイティブな子供たちは機器のトラブルも自己解決できるなど、アジア各地区の子供たちと同様ICTを使いこなす能力が育まれていることが分かった。
一方、遠隔授業の実施率で日本はアジアの国々と比べ、まだ高いとは言えず、GIGAスクール端末の利活用を進める途中段階にあるといえる。
現在若年層に拡大を続けるコロナウイルスを封じ込めるため、遠隔授業を徹底するには、子供たちの気分転換にもなり、かつ教員と児童生徒、児童生徒間のコミュニケーションが促進されるようなカリキュラム実施が重要になると考えられる。
レノボは学校用プログラミング教材「みんなでプログラミング」、クラウド型学習サービス「ClassPad.net for Lenovo」などの教育ソリューションパッケージで授業の支援を行っていく。
<調査概要>
調査地域:日本全国
調査対象:日本に住む16~25歳の生徒学生及び11~15歳の子供を持つ保護者、計213名
調査期間:2021年4月16日~4月26日
調査方法:インターネット調査
調査会社:YouGov
調査企画:レノボ・ジャパン合同会社